<女子テニス:東レ・パンパシフィック・オープン>◇6日目◇2日◇東京・有明コロシアム

 今大会で引退する杉山愛(34=フリー)が有終Vに王手をかけた。ハンチュコバと組んだダブルス準決勝で、ペトロワ、ドゥルコ組を7-6、7-5で破り、決勝進出を決めた。この大会のダブルスで日本選手の決勝進出は初めて。大会前半から体調不良に悩まされていた杉山だが、ようやく回復の兆しをみせ、この日は好プレーが随所に出た。スキアボーネ(イタリア)クレイバノバ(ロシア)組と対戦する3日の決勝が、現役最後の試合。最高の花道にするつもりだ。

 杉山が有終の舞台を自ら整えた。マッチポイントで打ち込んだ、こん身のフォア。相手の返球がアウトになると親友のハンチュコバに抱きついた。

 杉山

 ここまで来られたことに感謝。全部のシチュエーションを考えれば、ここに立てるのが奇跡だったから。

 シングルス前日の9月27日に襲われた体調不良の影響で、今大会は精彩を欠いたプレーが続いた。1日のダブルス準々決勝も試合中に吐き気を催すほど。だがこの日は輝きが戻り始めていた。第1セット後、相手2人がともに左太もも痛で治療。その後にペースを変え、のらりくらりとした2人のプレーにハンチュコバが戸惑い始めていた。その中でも杉山は自分のプレーは見失わず、接戦で踏みとどまった。ハンチュコバは「私が愛に引っ張られた。今日は愛なしには勝てなかった」と感謝した。

 かつてシングルスを軸としていたハンチュコバとは一時期、ペアを解消したこともあった。今年は全豪で準優勝したが、タイトルには手が届かず、今回優勝すれば06年5月のイタリア国際以来となる。杉山は「ツアーで親しい友達は多くはないけど、彼女は本当の友達」と特別な思いを抱いている。

 最高の友と、大会史上、日本人で初めてダブルス決勝のコートに立つ。「結果より、私たちらしい試合がしたい。自分たちのことをやれば、勝ちが見えてくる」。第1シードで4大大会4度の優勝を誇るフーバー、ブラック組が敗れ、有終Vへ追い風も吹いた。杉山に最高のフィナーレが待っている。【広重竜太郎】