宮城県ラグビーフットボール協会が、日本開催が決まった19年W杯に向け、招致活動を活発化させている。その一環として15日、日本代表-カナダ代表戦をユアスタで開催。その他にもビッグゲーム3試合が11月中に行われ、宮城の「ラグビー月間」となっている。19年W杯の開催候補地となっている仙台市。招致決定を目指す柿沼恭広事務局長(44)に、今後の動向を聞いてみた。

 「仙台にW杯を持ってくるのが私たちの仕事」。柿沼事務局長は、そう言い切る。そのためには、宮城のラグビー熱を高める活動を惜しまない。宮城で、3週連続でビッグゲームを行うのは初めて。目玉は15日の日本代表戦だ。2年前から試験的に代表戦を開催。今年は「初の観衆1万人を目指す」と、これまで集めてきたアンケートを基に、多くのファンに情報発信するという、初の試みも行ってきた。

 来年4月に、日本協会がW杯組織委員会を立ち上げる予定で、柿沼事務局長も「来年度中にも宮城招致委員会をつくりたい」と話す。現在の開催候補地は、仙台市を含め9カ所。日本協会関係者も「立地、インフラともに問題ない」と評価は高いが、ボランティア組織の充実、スタジアムの収容人数増など、招致決定まで解決しなければならない問題は、たくさんある。

 ラグビー熱向上へ、地元の競技そのもののレベルアップも重要だ。初の試みとして9月22日の宮城県高校ラグビー準決勝後、仙台育英の丹野博太監督(44)が講師役となり、県内高校の指導者向けに講習会を開いた。14年連続花園出場の“企業秘密”が他校に知れ渡るが「それは関係ない。宮城の底上げをしていかないと」と快く引き受け、同校の夏合宿のDVDを希望者全員に配るなどした。

 別角度からもファン拡大を狙う。昨年から、仙台商ラグビー部OBのお笑い芸人サンドウィッチマンを親善大使に任命。さらに県協会のキャラクター作りも進行中だ。「10年先だが短、中、長期で計画を進めていく」と柿沼事務局長。楽天、ベガルタ仙台、仙台89ERSのプロスポーツに負けじと、地道な活動を行っていく。【三須一紀】