<ホッケー:ロンドン五輪世界最終予選・日本6-0チェコ>◇2日目◇26日◇男子1次リーグ◇岐阜県グリーンスタジアム◇観衆300人

 「さむらいジャパン」も6発の大勝スタートを切った。世界ランク15位の日本男子は、初戦で同23位チェコを下した。前半4分、ペナルティーコーナー(PC)のチャンスにDF長沢克好(26=名古屋フラーテル)が得意のドラッグシュートで先制。同23分にも再びドラッグで2点目を決めた。前日25日に7-0で快勝した女子「さくらジャパン」に負けじと、男子も44年ぶりの五輪出場へ好発進した。

 「さむらい」がいきなり宝刀を抜いた。開始4分にPCの好機を得た。スティックを振り抜いたのはDF長沢。後方からボールを引きずって押し出すドラッグシュートで、浮いた白球はゴール左上に突き刺さった。19分後にもドラッグで2点目。6発大勝発進へ導いたイケメンは「自分の役割はPCを決めることなので」と、さらりと言った。

 MF川上主将は「うちはスペシャルな選手がいる。PCをどれだけ取れるか」と鍵に挙げる。体全体を使う難易度の高いドラッグシュートの使い手、その「スペシャル」が長沢だ。昨季の日本リーグ得点王。天理大4年の時から「海外選手のビデオを見たり、フォームを分析した」という。

 長沢は「僕は筋力がないので腰をうまく使ったり、GKとの駆け引きが勝負。ずる賢さはチーム一なので」。試合前にはGK長岡から「チェコのGKは下を警戒する」とアドバイスを受けた。相手の裏を突き、チーム一丸となって奪った先制点だった。

 明るいキャラクターで、頭の両サイドを刈り上げ、「あか抜けたいから」と前髪は茶色に染める。この日はDF小野の誕生日で「小野さんへのプレゼントです。安いと言われるかもしれませんが」と笑う後輩に、小野は「みんなをいじるガキ大将みたいなやつ。あだ名がウマだけに“うまい”シュートでした」と返した。

 4年前、同じ岐阜で行われた最終予選はビデオ係だった。日本は決勝で世界1位のドイツに完敗して五輪切符を逃した。1年前からは柔道整復師の専門学校を休学。京都・京丹波町の実家「長沢整骨院」をスポンサーに競技に集中する。「五輪に出ることが恩返しです」。25日には女子代表が7点の圧勝発進。「さくら」に負けじと、サムライ軍団が44年ぶりの扉へ手をかけた。【近間康隆】

 ◆ホッケーのロンドン五輪への道

 男女とも五輪は12カ国で実施。既に各大陸王者や日本開催以外の最終予選の勝者11カ国が出場を決めている。日本の五輪出場は今回の世界最終予選優勝が条件。最終予選は6カ国総当たりで1次リーグを行い、勝ち=3点、引き分け=1点、負け=0点の勝ち点制で上位2カ国が決勝に進んで対戦する。