<フィギュアスケート:GPシリーズ第3戦・中国杯>◇8日◇上海

 ソチ五輪金メダリストの羽生結弦(19=ANA)が、ショートプログラム(SP)2位から逆転を期したフリー演技直前の6分間練習で、閻涵(中国)と大激突。体を強く打ち、顔から出血するアクシデントに見舞われたが、治療を終えるとフリー演技を滑りきった。5度のジャンプの転倒があり154・60点。合計237・55点で2位となったが、見る者の心を大きく震わせた。

 中継したテレビ朝日の解説陣も、羽生の演技に胸を打たれた。松岡修造氏(47)は、羽生の負傷直後に「出場するべきではない」と繰り返したが、演技を終えると、「僕は羽生さんのことを誇りに思いますよ」と感嘆の声を上げた。フィギュア77年世界選手権3位の佐野稔氏は「今日のこの羽生君は永遠にフィギュア界の中で語り継がれるでしょう。涙出てます。しゃべれません」。ともにソチ五輪を目指した織田信成氏は「普通の人だと、これだけのケガの後で、回ることすらできないと思います。しかも後半に4回転…」と鼻水をすすりながらコメントした。同局は午後9時44分までだった中継を同59分まで延長した。