早大から70年ぶりに大相撲の力士となった直江(尾車部屋=東京都出身)が、学生との二足のわらじを履くことになった。在学中の初場所で初土俵を踏んだ後、勉強する時間がなかったせいもあり、わずか1単位足りずに留年が決まった。9月の卒業を目指す。

 新弟子には半年間、両国国技館にある相撲教習所での研修が課される。相撲の基本動作の指導を受けるほか、新弟子同士による激しいけいこもある。相撲史などを学ぶ座学も組まれている。直江はこれらを午前中にこなして午後から大学に通うことになる。着物姿での通学にも「周りの目は気にしません」と割り切っている。

 師匠の尾車親方(元大関琴風)は「4年間、通ってきたんだから…。(これまでの人生を)歩んできた証しという意味で卒業してほしい。中途半端はいけない」とエールを送る。

 不況下にあって、直江の同級生の中には企業からの就職内定を取り消された友人もいたという。そんなご時世の中、力士として道を進めるありがたさも感じている。「25歳で関取に手が届く幕下上位の位置にいきたいです」と目標を語った。

 右腕を故障しているが、春場所では9日目に勝ち越しを決めた。「ほっとしている。今場所は勝ち越しが目標だったので良かった」と笑顔で話した。