横綱朝青龍(27=高砂)が9日、傷心の本田昌毅医師(37)を「そば」で激励した。元婚約者の王理恵さんと破局した本田医師を都内の高砂部屋に呼び、破局の原因とされた「(同医師が)音を立ててそばを食べた」という話を逆手にとって、同医師に手作りそばをふるまい、存分に音を立てて食べさせた。この日、11日初日の夏場所(東京・両国国技館)の取組が発表され、小結稀勢の里(21)との対戦が決定。最も警戒する相手だが、準備万端の横綱は友情を優先する余裕を見せた。
朝青龍が全体けいこ終了10分前に土俵を離れた。15分後にけいこ場に戻ると、見学に訪れていた本田医師と談笑を始めた。同時に「ちょっと、出ていってもらおうかな」と報道陣を閉め出した。実は部屋の中でちゃめっ気たっぷりのサプライズが用意されていた。
約1時間後、笑顔で部屋を出てきた2人が打ち明けた。
本田医師「横綱からそばをごちそうになりました。音ですか?
ええズルズルッと思い切り立てました」。
朝青龍「そうそう。先生、いい音、させてたよ。理恵さんに嫌われるかな?
あっ、もう気にすることないか」。
本田医師から笑って胸を突かれた横綱は上機嫌で続けた。「途中、けいこ場からいなくなっただろ。先生のためにそばをゆでたんだよ。一生懸命にね」。
朝青龍にとって本田医師は友人であり、恩人でもあった。昨夏、精神的に不安定になったときに主治医として往診してもらい、モンゴルにも同行してもらった。ところが昨年12月に同医師と王理恵さんとの婚約が発覚し、その後「婚約解消」が報じられた。「朝青龍の主治医」として有名になった同医師の動向は、マスコミにも大きく取り上げられた。恋の相談に乗っていた朝青龍は、傷心の同医師を元気づける機会を狙っていた。
2人の予定が合ったこの日は夏場所2日前。初日の相手も難敵の稀勢の里に決まった。本来なら雑音を避けたい時期だが、「破局の原因」を逆手に取って、恩人を励ました。「稀勢の里との初日?
いいんじゃない。先場所と同じだね」。西前頭筆頭把瑠都との2日目についても「気にしない。気にしない」。番付発表後、2勤1休を守って体調は万全。本田医師との再会で気分もリラックスした。手ごわい若手ホープたちも、そばのごとくズルズルッと飲み込むつもりだ。【柳田通斉】

