<大相撲夏場所>◇8日目◇18日◇東京・両国国技館

 大関琴欧洲(25=佐渡ケ嶽)がストレート給金でかど番を脱出した。大関魁皇(35)を左四つから、落ち着いて寄り切った。レスリングで北京五輪代表になった母国ブルガリアの友人からの激励が大きな力になった。これで大関昇進後初の8連勝で、同じく全勝を守った横綱白鵬(23)とともに優勝候補筆頭に立った。1敗で横綱朝青龍(27)と平幕豊ノ島(24)が追っている。

 顔面に魁皇の左肩が直撃した。それでも琴欧洲は右上手を離さなかった。左下手も取ると、落ち着いて寄り切った。「自分から先に攻めようと思った。がまんして、左も入ったし」。過去の対戦で1度も本来の右四つになれなかったため、割り切って相手の形の左四つで勝負した。その思い切りが奏功した。

 初日からの8連勝は、12連勝した05年秋場所以来。「ストレート(給金)は大関になって初めて。考えたこともなかったよ」。先場所は4日目から5連敗で休場した(不戦敗で6連敗)。場所前は優勝予想に名前も挙がらなかったが、白鵬と並び無傷で前半を折り返した。北の湖理事長(元横綱)も「優勝争いは(朝青龍を含む)3人に絞られていくだろう。その中でも琴欧洲が一番。崩れる要素がない」と高く評価した。

 4月に励みになる出来事があった。母国で高校時代に一緒にレスリングを学んだ親友のベリコフが、最終予選(スイス)でフリー55キロ級で北京五輪代表権をつかんだ。06年の世界王者だが、07年は故障で世界選手権を欠場したため、今回は予選からの戦いだった。その親友の姿が、かど番の自分と重なった。「お互いに励まし合ってきたんだ」と琴欧洲。自分も負けるわけにはいかなかった。

 巡業の日程に影響しなければ、8月の北京五輪にベリコフの応援に行くことを希望している。そのためには今場所で周囲を納得させる成績を残さなければならない。目標はかど番を脱出ではなく優勝争い。「明日からも落ち着いて、いい相撲を取りたい」。これまでの集中力を切らさず、初優勝を目指す。【来田岳彦】