<大相撲名古屋場所>◇12日目◇24日◇愛知県体育館
東前頭13枚目豊響(23=境川)が、横綱白鵬(23)の偉業を阻止した。土俵際で木村山(27)に背を向けながらも逆転の押し倒しで3敗をキープ。同じ3敗の大関琴光喜(32)も平幕豪栄道(22)を倒して続いたが、豊響が勝った瞬間に、現行優勝制度では初となる白鵬による12日目までの優勝は消滅した。
乗っている男には、勝ち運もついてくる。木村山にいなされ、前のめりになった。左足を俵の上にかけ、敵に背を向けてしまった。万事休す。負けを覚悟したが、木村山のダメ押しを寸前でかわしてクルリと1回転。再び正対し、のど輪に耐えて前に出るや、圧力負けした木村山が足を滑らせ土俵に手をついた。
豊響
やべ~と思いましたけど、自然と体が反応しました。前を向けた時は冷静になって、相手が倒れそうな感じも分かりました。
1勝3敗で迎えた5日目から8連勝。3敗をキープした瞬間、館内のあちこちから「これで白鵬の優勝は持ち越しだね」との声が漏れた。本人も朝刊を読んで4人の3敗力士がそろって負ければ、白鵬の優勝が決まることは分かっていた。だが、頭の中は自分のことでいっぱいだった。「来場所のために1つでも多く勝たないと。最低2ケタはいきたいですから」。
「昭和の猛牛」と言われた横綱琴桜のような突進力で、新入幕の昨年名古屋場所で11勝4敗と活躍した。だが、翌秋場所から4場所連続で負け越し。昨年12月には、肝機能障害で入院。体重は10キロ減の168キロとなった。原因は「間食」だった。
それまで豊響は「ちゃんこの後、昼寝して起きたら腹がすいてる」と言う食いしん坊だった。おやつに東京・足立区の境川部屋近くの喫茶店で巨大パフェやハンバーガー、スナック菓子を食べる日々だった。退院後、師匠の境川親方(元小結両国)が「ちゃんこをしっかり食って、間食をやめろ」と厳しく指導。結果、肝機能の数値は下がり、体重も戻り、押しの威力も復活してきた。
1年ぶりの快進撃。だが、「夏は大嫌い」と言う。「エアコンの設定は18度。そうでないと眠れません」。エコの時代に逆行するが、暑がりの大型力士ゆえにいたし方ないところ。「平成の猛牛」は、残り3番も猛暑に耐え、得意の名古屋で暴れ回る。【柳田通斉】

