横綱朝青龍(27=高砂)が夏巡業2日目で失態を犯した。6日の札幌場所(札幌市・月寒アルファコートドーム)で、朝げいこを無断で欠席し、大島巡業部長(元大関旭国)に呼び出されて、注意を受けた。直後は怒ったが、わずかな時間で我に戻り、笑顔でファンサービスするなど、激しい感情の起伏をのぞかせた。一方の巡業部も当初は容認する方針だったが、一転、呼び付けて注意するという、ちぐはぐな対応だった。

 前日は優等生に変身したかに見えた朝青龍が、一夜にして問題児に逆戻りした。午前11時に朝げいこが終了後も、専用の控室にその姿はなかった。タクシーに乗って会場に到着したのは午後0時26分。準備の若い衆らは午前6時、関取衆も午前8時には会場入りするのが普通で、約4時間半遅れの「超重役出勤」だ。

 無断での朝げいこ欠席は、当然ただですむはずはない。大島巡業部長に呼び出され、不服そうな顔で役員室へ。部屋から出てきたところを報道陣が囲むと「何考えてるんだ。下がれ」とどう喝。体中から殺気を漂わせて、控室に消えた。大島部長は「(朝げいこ中に)土俵に来るように注意した。風邪をひいて頭が痛かったらしい。だが(体調が)悪いなら悪いで連絡すればいいのに」と話した。

 5日の苫小牧巡業では、屋外で約40分間、けいこし、改心したように映った。この日も土俵入り前の勧進元(主催者)との記念撮影後は写真やサインなど笑顔でファンサービスし、午後2時2分に会場を去る際も「風邪をひいたので、これから病院に行く。(大島部長にも)連絡した」と優等生を演じた。夢だったモンゴル巡業が無事に行われるよう、爆発寸前の感情を、じっとがまんしているようだった。

 一方、巡業部の対応もちぐはぐだった。朝げいこ直後の大島部長は「名古屋場所で休場しているんだから、体調を徐々に戻せばいい。こちらで何か言って北を向かれて(機嫌が悪くなって)もね…」と不問に付す方針だった。それが一転、「他の力士に示しがつかない」との理由で注意を与えた。今後も事前に連絡さえすれば、けいこは免除されることになる。残る巡業中も、朝青龍のマイペースぶりに振り回されることになりそうだ。【来田岳彦】