<大相撲九州場所>◇9日目◇17日◇福岡国際センター
関脇安馬(24=伊勢ケ浜)の大関とりへ視界が開けた。今場所初の大関戦で琴欧洲(25)を立ち合いで突き起こし、最後は左上手投げで転がした。連敗して2勝2敗で迎えた5日目から、徐々に本来の動きを取り戻して5連勝で7勝目。大関昇進の目安とされる直前3場所合計33勝へ内容も問われるが、残り6番で最低4勝を狙う。横綱白鵬(23)と東前頭7枚目雅山(31)は1敗を守った。
安馬のエンジンが、ようやくかかってきた。格上との初対戦で、土俵上をのびのびと動き回った。203センチの琴欧洲を突き起こし、右腕をたぐって右四つに。土俵を背にして左腕に力を込め、大関を土俵下まで投げ飛ばした。「体の動きを感じます。初日とは全然違う。一番大事なのは、自分の動きを感じること」。今場所初めて、満足した。
5日目から5連勝。序盤戦は重圧で腕が縮こまっていたが、この日は「立ち合いに気をつけた。今日は手が伸びてくれた」。連敗した4日目の夜、師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)に一喝された。「これは何だ。もう1度、立ち合いを基本から教えるぞ」。手でグーをつくり、手のひらが丸まっていることを指摘された。翌日から突き起こす動作を繰り返し、手が伸びるようになった。
発奮材料もあった。5日目の土俵入り前、支度部屋を訪れた栃東親方(元大関)に「勝ちたい気持ちが強すぎる。自分の経験でも、それは分かる。半年かけてここまできたんだからのびのび取れば」と言われた。一門も違う親方の心配りに安馬は「何よりも勇気づけられた」と感謝した。
ニンジンもぶら下がった。11日目から化粧品会社オリヂナル(東京都江東区)が、安馬の取組に毎日1本の懸賞を懸けた。同社担当は「普段から着物をしっかりと着こなす姿にひかれた。励みにしていただければ」。昇進の目安は3場所計33勝。最近2場所22勝の安馬には、残り最低4勝が必要。格下に2つ落とし、横綱朝青龍、大関魁皇が休場している現状で、今後は内容も問われる。「疲れている場合じゃない。最後まで力が抜けませんよ」。残り6日間、全力で大関をつかみ取る。【近間康隆】

