<大相撲夏場所>◇13日目◇22日◇東京・両国国技館

 かど番の大関千代大海(33=九重)は、今場所負け越した場合でも現役を続行する意思を示した。

 気持ちが吹っ切れた。今場所の成績にかかわらず、現役続行を決めた千代大海の口は、前日と打って変わって滑らかだった。琴光喜を立ち合い一瞬の右変化ではたき込み。「これじゃないと勝てないと思った。左から踏み込むのは不安だったし。思い切ってやるしかない。一番勝てる技だと思った」と振り返った。

 前日の琴欧洲戦で7敗目を喫した上、左太もも負傷は「肉離れと分かった」。負け越し=引退の覚悟で臨んだ場所。思わぬけがで、納得できないまま最悪の結果がちらついた。気持ちが変わったのはこの日の朝。「関脇に落ちる覚悟はする。10番勝てば戻れるチャンスを考えたい」と負け越しても現役続行と決断した。

 「でも、8敗していないのに、師匠にどう言おうかと思っていたら、師匠から声をかけてくれたので話せた。気が楽になりました」と、九重親方(元横綱千代の富士)に意思を伝えた。師匠は「足の状態次第でいろんな答えが出てくる」と楽観視はしていないが、愛弟子の思いを尊重した。

 左太ももはテーピングで固めているが、痛みはある。「アドレナリンで痛みの半分は取れる。あとは死んでも勝つんだという気持ちだけ」。かど番脱出へ1敗もできない状況に変わりはないが「先」の決意もしたことで気持ちに張りがでそうだ。【赤坂厚】