横綱朝青龍(29=高砂)が「天敵」に完勝した。九州場所(15日初日、福岡国際センター)に向けて、9日は福岡県新宮町の出羽海部屋へ出げいこ。NHK解説者の舞の海秀平氏(41)が見守る中、前頭栃煌山らに17戦全勝と絶好調ぶりを見せつけた。後輩を指導し、控えめな発言を繰り返す姿に、朝青龍を酷評してきた舞の海氏も「非の打ちどころがない」と絶賛。連覇を狙う九州場所前に大きな「1勝」を挙げた。

 朝青龍が「天敵」をうならせた。申し合いでは17戦全勝。そして後輩を積極的に指導した。大粒の汗を流す模範生は充実した表情を浮かべ、けいこ後は天敵といわれる舞の海氏に優しく声をかけた。

 朝青龍

 先輩!

 食い過ぎで、親方に腹が出てると言われたよ。

 舞の海氏

 調子良さそうですね。

 朝青龍

 そうですかね。飲んでるから、痛みとか気にならないんじゃないですか。二日酔いなんで。たまたまですよ。まぐれ、まぐれ。

 今年の初場所前は、引退問題に触れた舞の海氏に「顔じゃない」とキレた。「秀平」と呼び捨てにまでしたが、一転してこの日は「先輩」。丁寧な言い回しと控えめな言葉。スキを与えない完勝だった。

 けいこ場ではチラリと、舞の海氏を見ていた。両ひじと右ひざにテーピングしながら、頭をつけて攻め立てる。激しいぶちかましで春日野親方(元関脇栃乃和歌)をうならせ、朝赤龍には「シャー、ホラ」と気合を入れながら胸を出す。まさに横綱らしく振る舞い、舞の海氏もうなるしかなかった。

 舞の海氏

 非の打ちどころがないですね。取り口もずばぬけてますし、けいこの仕方も他の力士と全然違う。気分良さそうでしたね。何かあれば言いたいのですが、厳しいことが言えないですね…。

 完勝した朝青龍は上機嫌だった。自身の持つ05年の年間最多84勝の記録更新を狙う白鵬について「いいんじゃない、夢があって若いんだし。オレは全部やり尽くしたからね」。5日に信仰するチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマと面会してから続く、優等生の日々。何か不気味だ。【近間康隆】