角界にまたも大激震が走る、八百長問題が発覚した。警視庁が昨年7月に野球賭博捜査で力士から押収した携帯電話に、勝ち星を数十万円で売買したと思われるメールがあったことが2日、明らかになった。放駒理事長(62=元大関魁傑)は即座に緊急理事会を開き、疑惑のある親方と力士13人中12人から事情聴取した。12人はいずれも否定したものの、外部の有識者7人による特別調査委員会を設置し、第1回会合を開いた。今後の調査で事実と判明すれば、国技大相撲が存続の危機にまで発展しそうだ。

 何度も問題になった八百長でついに「証拠」が出てきた。押収した携帯電話から削除されたメールを復元して発覚した。野球賭博で謹慎し、初場所引退した元前頭春日錦の竹縄親方と十両千代白鵬の携帯が出どころ。十両を中心に芋づるで、すでに親方の2人を含む13人の名が挙がった。

 メールは昨年3~6月に少なくとも46通送受信されていた。「押してあとは流れ」に「少し頑張ります」と返信し、取り口など実に具体的。銀行口座や「20もらいたい」と単位こそないが金銭授受をにおわす。「○○が星を貸してと言っている」と、貸し借りや仲介を示すやりとりもあった。

 衝撃データは、警察庁から所管の文部科学省へ提供された。この朝、放駒理事長、伊藤理事、吉野、寺沢両監事の4人が呼び出された。「注意とお叱りを受けた」と、即座に緊急理事会を招集。文科省の資料を分析するとともに「徹底的調査の敢行、協会の方向性と意思を確認した」という。

 中断後に遠出していた1人を除く12人を呼び出して事情聴取した。いずれも否定し、理事長は「最終的確証を得ることができず、事実がどうなのか突き止められなかった」と苦しい弁明。外部理事らの選定で、外部7人の特別調査委員会を設置し、この日夜に第1回会合を招集した。

 「大変憤りを感じ、大変心苦しく思っています。心よりおわび申し上げます」。理事長は会見冒頭で頭を下げた後、「無気力相撲とみられる証拠のメールが見つかった」と説明。週刊誌報道では裁判にもなったが、昨年には名誉毀損(きそん)で勝訴。協会は一貫して八百長を否定してきた。勝訴した北の湖元理事長は「無気力相撲と八百長は違う」としてきたが、理事長は「イコールだと思っている」とも話した。ただし、「過去には一切なかったことで、新たに抱えてしまった問題だと認識している。はっきりとそのへんは理解いただきたい」と強調し、過去は否定の姿勢を崩さなかった。

 事実解明は調査委に委ねられた。3月13日には春場所初日を迎える。「十両以上の上位力士を重点的に調査してもらう。ファンに対する裏切りで、仮にも事実なら厳しく処分していく。春場所までには片付けたい」と、6日の臨時理事会の開催も即決した。昨年は野球賭博で未曽有の不祥事も、今回は神聖なる土俵の勝負そのものが揺らぐ事態。理事長は「相撲界の根幹を揺るがす話だ。危機感は野球賭博問題よりも強い」と険しい表情だった。