大相撲の横綱白鵬(26=宮城野)に、仰天オファーが届いた。名古屋場所(10日初日)に向けて本格的な稽古を再開した6月30日、名古屋市の宿舎で、日本オオカミ協会から署名活動への協力を要請されていることを明かした。同協会は、日本では絶滅した野生のオオカミの復活を目指しており、オオカミが多数生息しているモンゴル出身の白鵬に白羽の矢が立った。約2週間前に手紙で依頼を受けたという白鵬は「日本ではオオカミは悪いイメージがあるかもしれないけど、そんなことはない」と、前向きに話した。

 きっかけは、白鵬が中国人作家の人気小説「神なるオオカミ」を愛読していたことだった。報道で知った同協会常務理事の朝倉裕氏(52)は「今の日本は、鹿などが増えすぎて生態系が破壊されている。修復にはオオカミが必要。オオカミは人間に危害を加えないので、それを知る横綱の協力があれば大きな力になる」と力説。集めた署名を環境省に提出し、許可を得て外国生まれのオオカミを山林に放つ計画を立てている。

 13世紀のモンゴル帝国初代皇帝チンギスハンは、オオカミを先祖に持つという伝説がある。白鵬も「モンゴルではオオカミは神聖な存在」と話すと同時に「実は日本にもまだいるかも」。白鵬が要請を受諾すれば、同協会では街頭で市民に署名協力を呼び掛ける。