横綱白鵬(27=宮城野)が体質改善のため、「栄養学のカリスマ」に師事し始めたことが28日、分かった。大リーガーのダルビッシュ有投手らを指導した杏林予防医学研究所の山田豊文所長のアドバイスを受け、食生活を改良。5月の夏場所は10勝5敗に終わったが、名古屋場所(7月8日初日、愛知県体育館)で賜杯を奪還すべく、体作りから再起する。

 食生活の改善へ、白鵬が真剣に取り組み始めた。すでに、山田所長のもとへ出向き、話を聞いた。「食べ物に注意しないといけない、ということです」と横綱はシンプルに言う。「野菜を多く取ることを心掛け、青汁を毎日飲んでますね」。これから、さらに暑くなる名古屋での本場所へ向け、心強い助言者を味方につけた。

 山田所長はこれまでダルビッシュのほか、ゴルフ界では宮里美香、横峯さくららを指導。プロ野球では、巨人やソフトバンクのキャンプで講演したこともある。芸能界ではEXILEのATSUSHI、美川憲一にもアドバイスを送った。薬を用いずに、人間の自己複製能力を引き出す栄養学の第一人者という。

 前中日監督の落合博満氏は現役時代の晩年、指導を受けて動体視力を回復。元巨人の工藤公康氏は、定期的に頭髪を送り、毛髪分析で栄養状態などを診断してもらった。角界は太ることが良しとされ、伝統的に食事は1日2回という特殊な環境だからこそ、ほかのスポーツ選手とは違った助言を得られる可能性がある。

 白鵬はこの日の朝稽古後、体調の良さを指摘されると「若返ってるのかな?

 1日1日充実しています」と話した。若い衆に胸を出したほか、器具を使って握力を鍛え、ダンベルで上腕強化に努めた。宮城野親方(元前頭竹葉山)は「つい最近ですよ、やるようになったのは」と、横綱の変化を指摘した。

 横綱の苦しさを知る白鵬はかねて、30歳での引退をほのめかしてきた。先場所は横綱昇進後、最低の成績に終わり、年間4敗しかしなかった2年前の勢いはない。しかし、体質改善に取り組むなど意識が変われば、白鵬時代はまだ延びるかもしれない。

 ◆山田豊文(やまだ・とよふみ)1949年(昭24)生まれ。杏林予防医学研究所所長。米国公益法人ライフサイエンスアカデミー主宰。体質改善法の1つとして、プチ断食も指導する。主な著書は「細胞が元気になる食事」「体を守る栄養百点満点の健康法」など。