大関経験者で東前頭3枚目の高安(34=田子ノ浦)が、6日間の休場から再出場していきなり、結びの一番で“銀星”を挙げた。優勝争いに踏みとどまりたい大関豊昇龍をすくい投げで破り、4敗に後退させた。自身は休場で1つの不戦敗はあるが、土俵に立てば全勝。3勝1敗5休とした。10日目も結びの一番で大関琴桜戦。トップが2敗で5人が並ぶ混戦場所で、カギを握る存在に浮上した。

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この日最大の歓声は、高安が浴びた。三役以上の9人中、5人が休場。そんな中、1週間ぶりに戻ってきた高安は、取組前から会場を盛り上げた。立ち合い前から豊昇龍とにらみ合い、高まる緊張感。ほぼ同時に2人が腰を下ろして立つと、高安はもろ手突きからすぐに左を深く差し込んだ。豊昇龍の小手投げをこらえると、豪快なすくい投げ。通算9勝2敗とした合口の良い相手を転がした。

「結びで組んでもらえて、ありがたい。こういうところで取れるのが力士の醍醐味(だいごみ)」。結びの一番の独特な雰囲気も、大関経験者のベテランらしく緊張とは無縁だった。加えて、立ち合い前からの豊昇龍の“陽動作戦”も「毎度のこと。自分の呼吸で立てた」と意に介さなかった。横綱照ノ富士を破った直後の大の里を2日目に、この日は3敗を死守したい豊昇龍を破り、優勝争いのカギを握る存在となった。

初日から役力士相手に2連勝発進して優勝争いを期待された矢先の3日目から、急性腰痛症で休場した。「しょうもない相撲は見せられない。しっかり治して100%の相撲を見せたかった。番付を上げるために戻ってきた」。土俵に立てば全勝。「(優勝争いを)かき回すつもりなんかない」。“陰の最強”は10日目、トップに立った琴桜戦。再びの結びの一番へ不敵に笑った。【高田文太】

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