大関稀勢の里(27=田子ノ浦)が25日、春場所(3月9日初日、大阪・ボディメーカーコロシアム)に向けて、約1カ月ぶりに相撲を取った。大阪市内の田子ノ浦部屋で、右足親指関節の靱帯(じんたい)損傷で初場所千秋楽を休場後、初めての三番稽古。患部の悪化を防ぐために親指と人さし指をテープで巻いて土俵に上がった。

 相手に名乗り出た幕内高安ではなく、幕下隆の山を指名して15番取った。まわしにこだわらず、大半が押し出しで全勝。「まだ100%ではないけどね。かばうと全体のバランスが悪くなるからね。うまく体が使えたし、今日の感じだと大丈夫でしょう」と試運転は上々だった。

 入門以降続いていた953回連続出場も途絶え、今場所は自身初のかど番で迎える。「負け越したら(関脇に)落ちますからね。それは今に始まったことではない。(大関には)1回猶予があるだけ。いつもそういう気持ちでやっています」。10日の稽古再開後は、上半身中心のトレーニングで体は少し大きくなった。

 「ああいう相撲を取っていたら、お客さんにも悪いので、あれで良かった。いい休みになった」と、綱とり場所での休場はプラスに捉えて再発進。悔しさは、初優勝で晴らす。【鎌田直秀】