人気ゲーム「スプラトゥーン2」の全国大会予選で、“女子高生”チームの「ぽぽじろう学園高等部3年A組」が初優勝した。

女性3人と女装の「男の娘」1人で構成された4人組。女性3人チームの優勝は異例のうえ、4人の中にゲーム中の技術レベル最高値の「ウデマエカンスト」経験者は1人もいない。快挙ずくめの初優勝の裏側には、作戦を授ける裏方に徹した「監督」の存在があった。

ステージで喜び跳びはねる4人の姿に感情があふれた。チームの監督、ルオカだんちょう(30)が「ホンマにうれしいです」と顔をくしゃくしゃにして喜んだ。仲間の優勝に、これほど心を揺さぶられるとは思わなかった。4人から「カントク、こっち!」と呼ばれ観客席からステージへ上がり、満面の笑みで写真撮影の輪の真ん中に収まった。

初優勝までの道筋を描いた5人目の選手だ。4人の長所を生かす「ブキ」を選び、チーム力を高める編成と作戦を授けた功労者だった。

ルオカだんちょうは、それぞれの役割を明確にした。「塗る意識が高い」と評する、リーダーの「あまり」には自陣塗りを託した。同じ後衛の「きのこ」には、攻撃力の高いブラスターで「キルを取ってほしい」と指示を伝えた。「まひろ」には「バランスがいい。試合中に足りない役割を補ってほしい」と期待し、「ちんたお」には「前に出てメリハリをつけてほしい」と撃ち合いを任せた。「あまりを目立たせて、他のメンバーでキルを取ってもらおう」と狙った作戦が勝因の1つだった。

自身も甲子園地区大会で準優勝2度の実力者。他ゲームの「大乱闘スマッシュブラザーズ」の世界大会で4位の実績があり、動画配信サイトでゲーム実況を行うなど豊富な経験があった。4人とは約20人のゲームコミュニティー「AFS」の仲間。実際に顔を合わせてゲームを楽しむうちに、監督として仲間の力になる道を考えるようになった。

優勝の直後は、応援にかけつけたAFSの仲間たちと何度も抱き合った。「まさか優勝できるなんて。自分のことのようにうれしいです」。金メダルを首にさげた仲間たちを誇らしげに見つめた。【佐藤礼征】