7月ラストゲームで、両チームのリリーフ陣に注目した。というのも、開幕から試合前までのリリーフ陣の防御率は西武1・75、ソフトバンク2・84と、ともに先発も含めたチーム防御率(西武2・48、ソフトバンク3・04)よりも良く、首位争いの原動力となってきたからだ。ところが、7月のリリーフ防御率は西武2・29、ソフトバンク3・39と、開幕からに比べ、ともに0・5ほど悪化。ソフトバンクに限れば、月間負け越しの要因になったと言える。

大きな理由の1つに、コロナによる離脱者が続いたことが挙げられる。ただ、ソフトバンクは6月末に起きた大量離脱者が徐々に復帰。リリーフ陣も、嘉弥真と藤井が戻ってきた。西武に3連敗だけは絶対に避けないといけない中、ようやく、本来の形になってきたリリーフ陣の出来が、この日のカギを握っていた。

中盤まで点の取り合いとなったが、戦列に戻った2人はきっちり仕事をした。2点リードの7回1死走者なし、3番手で上がった嘉弥真は、源田、森と左打者を抑えた。8回は藤井が3者凡退。完璧なリレーで9回のモイネロにつなぎ、逃げ切りで連敗を止めた。

一方の西武。抑えの増田をコロナで欠き、平良も7月は打ち込まれた試合があるなど、盤石だったリリーフ陣に多少のほころびが見え始めている。踏ん張りどころではあるが、この日は3点を追う5回途中から森脇、佐々木とつなぎ、それ以上の追加点を許さなかった。打線がつながらず逆転はかなわなかったが、今カードを2勝1敗と勝ち越し。敗れはしたが、守護神を欠くチーム状況でも、いい戦いはできている。首位に立ったチーム状態の良さがうかがえる。これで増田が戻ってくれば、一気に勝ち進む気配も漂う。

パ・リーグは5チームによる混戦。勝ち抜けるには、コロナとケガによる離脱者を、どれだけ防げるかがポイントと言える。この日、ソフトバンクは森が陽性疑いで抹消となった。どの球団にも言えることだが、シーズン終盤に大量離脱が発生すれば順位は落ちていく。チームの戦力を、どれだけ整えられるかだ。(日刊スポーツ評論家)

西武森脇(左)と佐々木
西武森脇(左)と佐々木