これが野球の怖さだろう。7回が終わった時点では、ヤクルトが5-0でリードしていた。8回と9回といえば、勝ちゲームで投げる投手が登板するだけに、この5点は大きなアドバンテージになるはずだった。しかし、重圧のかかる開幕戦で、ヤクルトのリリーバーが押しつぶされた。
8回のマウンドに上がったのは左腕の山本だった。5点差があるとはいえ、開幕戦の初登板は緊張感が違う。私自身、リリーフをしていた時、開幕戦は「とにかく早く投げたい」という気持ちが強かった。普段と違う感覚だったのを、よく覚えている。
早く登板したいという気持ちは、焦りにつながりやすい。普段なら「先頭打者を出しても5点差がある」と思えるが、とにかく1アウトがほしくなる。先頭打者の若林に対し、カウント2-1から内角のチェンジアップをレフト前にヒットにされた。それほど甘い球ではなかったが、ここで焦りは大きくなる。キャベッジにはフルカウントからど真ん中のスライダーをライトスタンドに2ランされた。
それでも9回裏のマウンドはストッパーの田口。3点差あった。本来であればセーブがつく3点差というのは「おいしい」と思える場面。2点まで取られてもいいわけだから、リラックスして投げられるはずだった。
先頭打者の甲斐にヒットを打たれたが、本来なら気にならなかっただろう。しかし、そこが開幕戦の怖さ。1死後、代打の長野に対し、カウント3-1にしてしまった。ここで投げたシュートが甘く入り、痛打を浴びた。これが巨人打線を勢いづかせてしまった。
この場面、抑え投手は勝負が決まるまで投げる。なんとか同点までで済んだが、イケイケムードの巨人打線に対し、ヤクルト打線は守備固めに入っている。形勢不利は否めないし、延長10回からリリーフした清水が、サヨナラ打を浴びた。
一方の巨人は泉とマルティネスが素晴らしいピッチングをして流れを呼び込んでいた。
開幕戦は負ければただの1敗として片付けてもいいが、ヤクルトにとってこの負け方は痛い。田口はもともと打たせて取るタイプで、ストッパー向きではないと思っていた。開幕戦だけで調子を判断する必要はないが、ストッパーとしてどこまで使い続けるかは別にして考えた方がいいと思えるような内容でもあった。(日刊スポーツ評論家)




