楽天は完敗だった。先発の藤井聖投手(28)が3回もたなかった。西武打線に低めの誘い球を見極められ苦しくなった。そうなると、ボールがどうしても浮いてしまう。そこを痛打された。

昨季は11勝(5敗)を挙げたが、今季はこれで6勝6敗と波に乗れずにいる。決して球が速いわけではなく、緩急を生かして打ち取るタイプ。そのためには、右打者の内角を突いていく必要がある。その際、藤井には大きな武器がある。真っすぐが食い込む軌道の“真っスラ”になる。右打者からすれば、かなりやっかい。勝っているときは、その球でどんどん打者の懐を突き意識させ、そこからツーシームやチェンジアップ、スライダーを低めに集め打ち取れる。内を突くには勇気が必要だ。この日も丁寧にという意識からか、慎重になりすぎたようにみえた。

もちろん、丁寧に投げることが一概に悪いわけではない。だが「丁寧に」だけでは難しい。押すからこそ、引くことができる。時に開き直って、勇気を持って投げることが求められる。シーズンでの登板も、あと1、2試合だろう。あらためて自分の武器を思い出して欲しい。

3ゲーム差で追いかけていた3位オリックスが勝ったため、4ゲーム差に開いてしまった。今季はAクラスに浮上できそうなところまではいくが、ここで勝たなければという試合をことごとく落としている。かといって、ずるずる負けているわけでもない。だから、逆転CSの望みは続いている。23日からは8連戦。週末にはオリックスとの直接対決3連戦が控えており、そこで全勝できれば一気に詰められる。

もっとも、そういう星勘定をしている場合でもないだろう。まずは火曜日からの日本ハム戦とソフトバンク3連戦。その4試合の結果次第では、オリックス戦の前に勝負がついてしまうおそれもある。泣いても、笑っても、残り11試合。目の前の1試合を取っていくしかない。

そのためには、切羽詰まって試合をしないことが大事だと思う。シーズン終盤を迎え、特に先発陣やビハインドの展開で投げるリリーフ陣は、走者を1人出すことも許されないような追い込まれた印象というか、きゅうきゅうと投げているように映る投手が多いように感じる。藤井について書いたように、勇気を持って、時に開き直ってプレーすることが欠かせない。(日刊スポーツ評論家)

楽天対西武 2回表西武1死一塁、源田の送りバント処理で、捕球を浅村(右)に譲りかがむ藤井(撮影・浅見桂子)
楽天対西武 2回表西武1死一塁、源田の送りバント処理で、捕球を浅村(右)に譲りかがむ藤井(撮影・浅見桂子)
楽天対西武 力投する楽天先発の藤井(撮影・浅見桂子)
楽天対西武 力投する楽天先発の藤井(撮影・浅見桂子)