オリックス用具担当の松本正志さん(59)は、この時期になると若い選手から決まって聞かれる。

 「松本さん甲子園で優勝したんですか?」。松本さんは77年の59回大会でエースとして東洋大姫路(兵庫)を頂点に導いた優勝左腕。決勝では「バンビ」こと1年生エース坂本佳一がいた東邦(愛知)を延長サヨナラで破った。

 59回大会は華奢な1年生が奮闘する姿が世間からも注目を浴びフィーバー。社会現象にもなった。松本さんは「完全に悪役やったね」と笑う。決勝がサヨナラ勝ちだったことで、優勝の瞬間に選手達がマウンドに集まるあの象徴的なシーンもなかった。

 甲子園は100回大会という節目を迎えた。今年は過去に夏の甲子園で活躍した元球児による「甲子園レジェンド始球式」が実施される。13日には坂本氏も登場するという。

 「俺も勝手に(13日の始球式に)行こうかな。誰やあのオッサンって言われるな」。自虐的に笑った松本さんだが「バンビがいなかったら、本当に印象に残らない大会だったと思う。バンビのおかげだよ」。その表情はなんともうれしそうだ。【オリックス担当 桝井聡】