初日の出に向かって、19年シーズンの活躍を誓った。17年ドラフト1位の阪神馬場皐輔投手(23)は今オフ、地元・仙台に帰省して体を動かしている。

馬場は自らの「原点」でもあるパワースポットに足を運んだ。毎年、初詣に訪れるのは宮城県・塩釜市の塩釜神社。「勝負の神様」として知られ、山門までには急階段が202段ある。

足を高く上げて、黙々と駆け上がる。その胸中は「悔い」と「期待感」で埋められている。プロ1年目の昨季は1軍戦先発2試合で、未勝利。ドラフト1位という周囲の期待には応えることができなかった。

「周りの選手がすごく見えてしまって。完全に自分を見失っていました。プロは失投が許されないんです。どのスポーツもそうだと思うんですけど、ミスを多くした方が負ける。ミスは自分の力で減らせる。相手との戦いの中に自分との戦いがあるんです」

あれから1年が過ぎた。ドラフト指名直後は、毎日のようにフラッシュライトを浴びたが、今ではカメラを向けられるタイミングも少なくなった。

「1軍で結果を残せる選手にならないといけない。去年は、その段階まで行けずに終わってしまったので。全部を受け止めて進んでいくしかないんです」

もう、迷いはない。無心で登っていくだけだ。

「アピールしないといけない立場。競争に勝たないとチャンスはこない。(昨季は)2試合だったので、1軍でたくさん投げるためにやっていきます」

1段ずつ登った先に、希望の光は見えてくる。そして、その先には-。苦労してたどり着いた頂上から見える絶景は、馬場にしか分からない。【阪神担当 真柴健】