6月4日、東京ドームでの巨人戦後。日本ハム中田翔内野手(32)は取材に答えていた。この日が、20日ぶりの1軍戦出場。燃えるものはあった? という最初の質問に「燃えるものというか、別に一緒ですよ。ファームも」と答えた。淡々としていたトーンが余計に印象的なコメントとして際立たせた。

打撃不振による志願の再調整を経ての戦列復帰だった。前日3日までは2軍戦3試合に出場した。原田2軍監督は、この3日間での中田を次のように評した。

「ファームでやっていることを彼は人づてに聞いたのでしょう。みなさんも見て分かる通り、全力で必死に走るし、大きな声もしっかり出すし、とにかく一生懸命やってくれるんですよ。守備もそうなんですけど、全てにおいて模範になってくれた。彼には感謝の言葉しかないです。この3日間は必死でやってくれたし、手を抜かない。本当、若いファームの選手の手本になりましたよね」

延長戦となった試合も途中交代していたが、最後までベンチで仲間を鼓舞、応援して勝利を目指す姿があった。1軍も2軍も関係ない。勝利を目指して仲間とともに打って守って走るのみ。中田のベースにある野球に対する心構えを、冒頭のコメントは表しているように感じる。

8日阪神戦(札幌ドーム)で急性腰痛を発症し、再び戦線離脱となってしまった。踏んだり蹴ったりのプロ14年目シーズンだが、4番の重責を背負い続けてきたこの10年間も山あり谷ありの日々だった。4日の試合後に中田が言った締めの言葉は「しんどいですけど、最後までやるしかないですし。まあ、どうにかしなければいけないですよね」。復活を待ちたい。【日本ハム担当=木下大輔】

イースタン・リーグ日本ハム対巨人 サヨナラ内野安打を放った日本ハム今川優馬外野手は中田とハイタッチ(右は中島)(2021年6月2日撮影)
イースタン・リーグ日本ハム対巨人 サヨナラ内野安打を放った日本ハム今川優馬外野手は中田とハイタッチ(右は中島)(2021年6月2日撮影)