<オープン戦:ソフトバンク3-1中日>◇2日◇ペイペイドーム

やっぱり野球は「投手力」なのだ、と思った。宮崎キャンプを終えて福岡に戻ったソフトバンクの地元福岡でのオープン戦初戦。練習試合を含めて対外試合3連敗中だったが、投手陣が安定した力を見せれば、簡単に星を落とすことはない。開幕2カード目のロッテとの初戦(29日)の先発が内定している石川が3回無失点。ローテ枠に食い込みたい松本が阿部にソロ弾を許したものの4回1失点。7回までにテンポ良く打線を封じ込めば、ドタバタすることはない。売り出し中の育成藤井も3人で片付け、9回は甲斐野が締めた。

「競争」という名のチーム内バトルが本格化する。センター、サードの定位置争いに目がいきがちだったが、投手陣だって「一発快投」で答えなければ厳しい「振るい落とし」が待っている。支配下登録を目指す藤井の落ち着いた投球に、藤本監督はキャンプ中から「勝ちゲームでも投げさせられる」と評していたが、さらに上がったようだ。

先発候補は複数イニングの中で失点しても内容重視で評価されるだろうが、救援陣は1イニング勝負。シーズン同様、厳しい視線が向けられる。試合後の藤本監督はまだまだ辛口採点だったが、最後を締めた甲斐野は自信回復の登板になったのではないだろうか。先頭の石川昂を139キロのフォークで空振り三振。新人鵜飼には内野安打されたが、溝脇を153キロの直球で空振り三振、最後は木下を三邪飛に打ち取った。2月23日の西武との練習試合で9回に登板し、3安打2失点と炎上しただけに雪辱への思いは強かったはずだ。

昨年のホークスは4点以内の点差別勝敗はすべて負け越し。特に1点差は8勝19敗だった。チーム浮上のカギは、得点力アップとともに長丁場の1年を考えればブルペン陣の踏ん張りも大きいはず。必勝のバトンをつなげる中継ぎ陣は、多くても困ることは、ない。【ソフトバンク担当 佐竹英治】

ソフトバンク対中日 9回に登板した甲斐野(撮影・梅根麻紀)
ソフトバンク対中日 9回に登板した甲斐野(撮影・梅根麻紀)