丁寧に投じる1球1球に、目頭が熱くなる。

オリックス竹安大知投手(27)は、今季先発4試合ながらも、2勝(0敗)をマーク。防御率も3・15と、十分に仕事を果たしている。

15年にドラフト3位で阪神に入団した右腕は、18年オフにオリックスへ移籍。FA移籍した西勇輝が着用していた背番号21は、4シーズン目を迎える今、次第と定着しつつある。

今春の宮崎春季キャンプ中には、自身のフォークボールを改良した。

「キレ、落差が関係ある。(投げる)感覚はスプリットだけど、できれば落としたい。ロッテ佐々木朗希くんのフォークがすごく好き。ストライクからボールゾーンに落ちても空振りが取れるし、(高め)ストライクから(低め)ストライクでもカウントが取れる」

2月中旬に話していたフォークボールは今、自信を深めている。8月5日の日本ハム戦(京セラドーム大阪)で今季初勝利をあげた際に、中嶋監督から「(竹安は)元々フォークもあったんですけど、去年のフォークとは、また違うフォーク。非常に精度が高くなったかなと思いますね」と評価されるほど、磨いた。

マウンドでは真剣表情も、グラウンド外では屈託のない笑みを見せる、今季28歳。小学1年から野球を始めた竹安は「(親に)甘えていたからユニホームも中学生までは洗ってもらっていた。3人兄弟で1番迷惑をかけたかな。4歳下の妹、7歳下の弟がいます」と感謝の気持ちを伝える。

94年生まれで同学年の記者は、取材中に「すごいなぁ…」と感心したエピソードがある。

5月上旬に「母の日」の思い出を聞いたときだった。「母の日のプレゼント…? そんなに記憶はないけど、誕生日に。毎年、“自分の誕生日”にプレゼントを渡していますね。産んでくれて、育ててくれてありがとう!って」と、昨年はスマートウオッチをプレゼントしたそうで、頼もしい孝行息子だった。

竹安の誕生日は9月27日。「今年で28歳だね」と同学年トークで盛り上がっていると「(母が)最近、目の手術を。網膜剥離で、入院したりで…。こういうご時世、こういう職業(プロ野球選手)で、静岡への帰省はなかなかできないけど、頑張っている姿を見せてあげたい」。1球1球、全力で腕を振る理由がある。【オリックス担当 真柴健】