鳴尾浜でルーキーたちが早くも躍動している。侍ジャパンがメキシコと準決勝で激闘を演じた21日(米国時間20日)、鳴尾浜でウエスタン・リーグ阪神対ソフトバンク戦を取材した。

7番・中堅でスタメン出場したドラフト3位の井坪陽生(ひなせ)外野手(18=関東第一)が8回にソフトバンク高橋純のスライダーを豪快にとらえた。鳴尾浜の左翼防球ネットの中段に突き刺す強烈なプロ1号2ラン。「完璧でした。(初本塁打の)ボールは家に送ります」と笑顔がはじけた。

和田2軍監督は「実力で試合に出ているような感じだからね。今のところは。それくらい打席ではいいものを見せてくれているんで」と驚くように話していた。この試合では9回にも左越え二塁打。24日の中日戦(ナゴヤ)でも2号ソロを含む3安打3打点。ここまで出場全5試合すべて安打を放ち19打数10安打の打率5割5分6厘、2本塁打、5打点と高卒ルーキーとは思えない打撃を見せ続けている。

21日の試合後に井坪は「今、好調が続いているが、絶対にこのままいくわけはない。この1年は結果よりも内容を気にしてやりたい」と落ち着いて話していた。数字に浮かれることなくこの1年で経験を重ねれば、大きく成長してくれるはずだ。

21日ソフトバンク戦の7回にはドラフト5位戸井零士内野手(18)が代打で登場し、右前へ詰まりながらも公式戦初安打。8回には育成ドラフト1位の野口恭佑外野手(22=九産大)も三塁ベースを強襲する左前二塁打でプロ初安打を記録。2人も記念球をもらい、親に送る。

WBC期間中に日刊スポーツ評論家の里崎智也氏(46)は、壮行試合や強化試合のサポートメンバーのことを「未来侍」と呼んでいた。井坪や戸井らはまさに将来が楽しみな「未来侍」だ。今年1軍で急に戦力というわけにはいかないが、この1年でどういう姿になっていくのか、日刊虎番としてしっかりと追っていきたい。【阪神担当 石橋隆雄】

阪神戸井零士(2023年2月撮影)
阪神戸井零士(2023年2月撮影)