ショッキングなニュースだった。エンゼルス大谷翔平投手(29)が右肘の靱帯(じんたい)損傷が発覚し、投手としては今季の登板はなくなった。2度目のトミー・ジョン手術となれば選手生命も左右しかねない状況。大谷の活躍が見られないことに心を痛めながらも、巨人担当として巨人でトミー・ジョン手術を受けた選手に思いをはせた。靱帯(じんたい)を痛めたら、どのくらいの期間で復帰し、出力はどれだけ戻ってくるのか。
東海大時代の20年6月に受けた山崎伊は、プロ1年目は実戦登板なし。リハビリに費やし、昨年の2月の春季キャンプで2年半ぶりに実戦登板した。実質デビューシーズンとなった昨季は5勝5敗、防御率3・14。今季はそこからさらにパワーアップし、ここまで9勝3敗、防御率3・14とチームをけん引する。昨季から平均球速も上がり、力で押す投球も増加。「シンプルに手術から2年半から3年たって、投げている中での気持ち悪い(感覚)のもなくなってきている」と肘がなじんできた。
堀田はドラフト1位で入団した19年、1月の新人合同自主トレで違和感を覚え、4月に手術を決行。1年4カ月後の21年8月に実戦復帰し、9月には自己最速の155キロも計測した。しかし昨季途中には原因不明の球威不足に悩まされた。直球が130キロ台まで落ち込むこともあった。今季は1軍で3試合に中継ぎ登板し、最速151キロと球威も戻りつつある。
2人にリハビリのことを聞いたことがある。痛みが強い期間と弱い期間の波が激しく、一進一退の状況が続く。山崎伊は「投げ出してからがしんどかった。投げるまでは『投げたい投げたい』ってトレーニングができますけど、投げ出したら痛いし、全然上がってこない」と前進を実感できない日々のつらさを知る。術後半年は右肘周辺の皮膚の違和感も。「癒着するんですよ。傷痕の上がこりこりして固くなるからほぐさないといけない」と独特の後遺症にも悩まされた。
昨年まで所属したデラロサは2度のトミー・ジョン手術を経験した。来日前の17年8月にはプロ入り後2度目のトミー・ジョン手術を受け、現役復帰の可能性は5パーセントとも言われた。だが、復帰初戦の初球で160キロを計測し、華々しく復活したという。19年に巨人入団後も最速161キロをマーク。在籍した4シーズン全てで防御率2点台と安定感のある投球でブルペンを支えた。
人それぞれ、ペースも回復具合も異なるが、95年当時、日本人でほぼ前例のないトミー・ジョン手術に踏み切った桑田ファーム総監督は言う。「おかしいと思って2年、3年すっきりしない状態でやるよりは、早めに手術して復帰に向けて頑張ったほうがいい。僕はそう思います」。前に進む実感が、何よりも心の支えになる。大谷はどういう決断をするのか。温かく見守りたい。【巨人担当=小早川宗一郎】




