楽天の今季チームスローガンが「いただき!」に決定したが、新年早々、私にとって、いただけない出来事があった。
今季からクローザーに転向する則本昂大投手(33)が、地元滋賀で行った自主トレを取材させていただいた時のこと。その日はメディア公開日に設定されていたが「1時間ほどで切り上げてしまうのでは?」。報道陣がいることで練習に集中できないだろうという固定観念にとらわれていた。
私は昨年11月にプロ野球担当記者になった。初めての自主トレ取材で勝手が分からず、失礼ながら、そんな予想をしていた。だが、実際は違った。
短距離ダッシュ、キャッチボール、ブルペンでの投球練習、10種類ほどの体幹メニュー…。約3時間、弟佳樹さん(29)、高校や大学時代の仲間、トレーナーらとみっちり体を追い込む姿が印象的だった。長いシーズンを戦い抜くために妥協を許さない。プロ野球選手のすごみを感じた。
わずかに積雪が残るグラウンドで約100メートルのポール間走を行う時だった。則本は「皆さんも、やろう、やろう」とカメラを構える報道陣と楽天のM広報を手招き。全員が厚着でスニーカー。とても運動できるような格好ではなかった。
「なんでランニングシューズじゃないんですか?」
全員に突っ込みを入れつつ「1往復だけ」と“強制参加”を促した。寒空の下、おのおのが顔を見合わせ、ダウンジャケットを脱ぐ。全力にはほど遠かったが、則本らの後を追った。
実は私の趣味はランニングだ。自己ベストはフルマラソンが3時間10分、ハーフマラソンが1時間30分ほどで市民ランナーとしては「そこそこ速い」部類に入る。だが、猫をかぶって進んで「走ります」と名乗り出ることができなかった。
囲み取材が終わると、則本は報道陣に向かって「明日も来てもらっていいんで」と、にやり。“おかわり”を受け付けたものの、私は苦笑いするしかなかった。
「則本投手、ごめんなさい。僕、本当は走れました」
もし来年、機会があるのであれば、ランニングシューズとトレーニングウエアを持参し、フル装備でお邪魔したい。【楽天担当=山田愛斗】




