平成最後、令和元年のペナントレースも折り返し間近。日刊スポーツ評論家が序盤戦から感じた独自の視点で論陣を張った。屈指の強打者だった和田一浩氏(46)が、野球好きの誰もがおぼろげに抱く思いをズバリと指摘する。

和田一浩氏
和田一浩氏

西武で11年、中日で7年の現役生活を送り、評論家として3年間、プロ野球に携わってきました。言うまでもありませんが、セ・リーグとパ・リーグの一番の違いは「DH制の有無」でしょう。「どちらが面白いのか?」は、野球好きのファンであれば1度は考えたり、論議したことがあるのではないでしょうか。私なりの見解を話してみます。

絶対にDH制の方が、野球は面白いと思います。自分がプレーしていると、違いはそれほど感じなかったのですが評論家で野球を見ると違いました。セの試合では6番以降の打者が先頭打者で出塁しても、得点が入るような気がしません。投手に打順が回ってくるからです。2死で走者が得点圏にいても、打席が投手ならガッカリします。いくら打撃がよくても外野は前進守備で、シングルヒットぐらいでは得点できません。普段からプロの投手はほとんど打撃練習はしないし、打撃のいい投手はいますが、ほとんどの場合、ファンからお金をもらって見せるような技術は持っていないと言っていいでしょう。走塁技術に関しても同じです。

投手に打席が回るため、監督の采配はセの方が難しくなります。“采配の妙”は、確かに楽しくもありますが、野球本来の醍醐味(だいごみ)は「打つ」や「投げる」です。語弊を感じる人はいるでしょうが、野球本来の醍醐味を犠牲にしてまで、結果論的な事案が多い采配の妙を楽しむのは、少し違うのではないかと思うのです。

2018年のDH部門のベストナインに選ばれた日本ハム近藤
2018年のDH部門のベストナインに選ばれた日本ハム近藤

今年も交流戦はパが強そうです。パの投手は、とにかくタフです。各球団のスカウティング、育成法などの違いはあるでしょうが、DH制で鍛えられている部分もあるでしょう。打席の兼ね合いで交代しないし、対戦する打者に投手はいません。得点圏で打者と対戦する回数は、間違いなくパがセを上回っていると思います。そんな投手を相手にするパの打者も、レベルが上がって当然です。

アマチュア野球でも、DH制を取り入れてもらいたいと思っています。足が遅く、守りの下手な子どもでも、打つだけでもいいDH制があれば試合に出られるし、すごい打者が出てくる可能性も広がるでしょう。もちろん打撃のいい投手がいれば、DH制を採らなければいいのです。皆さんはどう思いますか?