今年も多くの選手たちがプロの世界を去った。第2の人生へ踏み出す彼らを特集する「さよならプロ野球」を、全12回でお届けする。

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日本ハムを今季限りで退団した森本龍弥内野手(25)は11月中旬に、現役引退を決めた。12球団合同トライアウトには参加したが、満身創痍(そうい)だった。今季は9月に左足首を故障。「自分が好きなことを一生懸命やれない」と自ら区切りを付けた。

17年4月、ソフトバンク戦の2回裏2死一塁、中前にプロ初安打を放つ森本龍弥
17年4月、ソフトバンク戦の2回裏2死一塁、中前にプロ初安打を放つ森本龍弥

12年ドラフト2位で高岡第一(富山)から入団した。同1位はエンゼルス大谷だ。「プロでも、あんなにえぐいヤツは見たことがない」。入団当時はライバル心もあった。13年1月。「こいつには負けんで」と誓い、臨んだ新人合同自主トレ。度肝を抜かれた。隣でティー打撃をする打球音は「えぐかった」。2月の春季キャンプでは屋外フリー打撃を見て、再び衝撃を受けた。飛距離、技術、全てにおいて「これは、勝てんな」と思ったという。

日本ハム森本の年度別成績
日本ハム森本の年度別成績

そんな同期のまばゆい光の陰で、プロ入り後の4年間は1軍昇格を果たせなかった。ようやく日の目を見たのが17年4月13日。「やっぱり、あの時が一番、印象に残っている」。札幌ドームでのソフトバンク戦でプロ初昇格初スタメン。バンデンハークから待望のプロ初安打。試合後にはお立ち台にも上がった、プロでの唯一の安打となった。

その年のオフに大谷は海を渡り、自身は昨オフに育成選手へ。そして、今オフは引退を決断した。今後は、未定だ。「野球しかやってこなかった。まだ、自分が何をしたいのか、分からない」と身の振り方を、思案している。

ぼんやりと描く、将来像はある。「自分のような選手は引退したら、何をしたらいいか分からない。そんな人のセカンドキャリアを後押しできるような仕事に携わりたい」。プロ7年間は「充実していました」と言い切れる。好きなことが仕事になり、まい進してきた。まだ、25歳。人生の選択肢は、広い。情熱を注げる第2の人生を、じっくりと探す。【木下大輔】

19年日本ハム退団選手
19年日本ハム退団選手