昨季の日本シリーズでオリックスの野手の選手層が薄いことを感じていた。吉田正、杉本ら主力の力はあるが、控え選手との実力差に開きがあった。大一番の終盤で出てくる代打陣は手薄だった。

キャンプの紅白戦を見て、課題の改善が見られた。ルーキーのドラフト2位、野口智哉内野手(22=関西大)と同4位、渡部遼人外野手(22=慶大)は即戦力になれる。

野口はスイングスピードが速く、思い切りのいいスイングが目立った。強振しながらもバットに当てる力があり、吉田正のような打率も長打も残せるタイプに成長する可能性はある。

渡部は実戦向きのタイプだ。構えは少し独特だが、スイングはコンパクトで、追い込まれてからもしぶとさがあり、打席の中で対応する力がある。スピードもあり、俊足巧打で面白い存在だ。

野口は二塁手、渡部は中堅手で出場していた。同位置には安達、福田とレギュラー格の選手がいる。それでもルーキー2人の存在は、安達を勝負どころの代打に控えさせたり、左翼手の吉田正をDHに置いて、守備の負担を減らす試合を作るなど、プラスの効果が生まれる。まだ新外国人が来日できていないため、未知数な部分はある。だが日本人野手に限れば、戦力層の厚いソフトバンクに引けは取らない。

優勝した翌年は、チーム全体が緩みがちになることもある。久々に優勝したオリックスはどうだろうか、と見ていた。この日の紅白戦を見る限りでは、試合になるとスイッチが入る選手が多いように感じた。日本一に届かなかっただけに、新しいモチベーションがある。(日刊スポーツ評論家)

5回表紅1死一、二塁、大下の中前打で生還するオリックス野口(撮影・和賀正仁)
5回表紅1死一、二塁、大下の中前打で生還するオリックス野口(撮影・和賀正仁)
3回表紅1死、右翼線に二塁打を放つオリックス渡部(撮影・和賀正仁)
3回表紅1死、右翼線に二塁打を放つオリックス渡部(撮影・和賀正仁)
紅白戦 5回表紅組無死、一塁を強襲する内野安打を放つオリックス渡部(撮影・和賀正仁)
紅白戦 5回表紅組無死、一塁を強襲する内野安打を放つオリックス渡部(撮影・和賀正仁)