第106回全国高校野球選手権大会(8月7日開幕、甲子園)へ向けた地方大会の本格的な開幕を前に、日刊スポーツでは、この夏、全国の担当記者が推す注目選手を「ピカイチ」連載として全3回で紹介する。2回目は「ピカイチ野手編」。今春のセンバツに21世紀枠で出場した田辺(和歌山)の4番山本陣世(じんせい)内野手(3年)にスポットを当てた。
プロも注目する打撃は強烈なパンチ力と無類の勝負強さを誇り、本業ではない投手としても最速144キロの直球を投じる。ずばぬけた身体能力でチームを春夏連続、夏は29年ぶりとなる甲子園出場に導く意気込みだ。
田辺の主砲、山本陣は「野球センスの塊」だ。細身ながら身長183センチの大型で、バットを握ればしなやか、かつ鋭いスイングでボールを遠くに飛ばす。守備では遊撃手としても柔らかいグラブさばきで、強肩も備える。ポテンシャルの高さに、プロ野球の複数球団のスカウトが興味を示す。
21世紀枠で出場した今春のセンバツでも、存在感を発揮した。昨秋の明治神宮大会王者の星稜(石川)を相手に8回まで同点の接戦を繰り広げ、2点を追う9回は先頭でバックスクリーンへ大飛球を放った。惜しくも中堅手の好捕に阻まれ4打数無安打に終わったが「いい経験をできましたし、自信にもなりました」と胸を張った。
抜群の勝負強さも持ち合わせる。高校通算6本塁打ながら、昨秋の県準々決勝の市和歌山戦で1発を放つと、準決勝の智弁和歌山戦でも逆転の満塁弾。強豪相手に2戦連続アーチを描き、チームを準優勝に導いた。田中格(かく)監督(52)は「チャンスでの集中力は尋常じゃない。打ってほしいところで打ってくれる」と信頼は絶大だ。
昨秋から本格的に練習を始めた投手でも、潜在能力を発揮。今春の県準々決勝の市和歌山戦に延長10回から登板し、投球練習中に「自分でもビックリしました」と142キロを計測して場内をザワつかせた。自己最速は144キロ。まだまだ伸びしろたっぷりだ。
高校最後の夏の初戦は、14日の2回戦で昨夏王者の市和歌山との3季連続対決が決まった。昨秋は9-2で8回コールド勝ち。春は延長10回タイブレークの末に3-6で敗れた。山本陣は「なんか縁があるんかな」と笑顔を見せつつ「次で勝ち負けが決まるなって感じで、みんなも自分も結構気合入ってます」と目をギラつかせる。いきなりの好カード。春夏連続の甲子園へ、4番の打棒でまずはライバル校を粉砕する。【古財稜明】
◆山本陣世(やまもと・じんせい)2006年(平18)7月22日生まれ、和歌山県上富田町出身。田辺市立第二小1年から田辺第二クラブで野球を始め、上富田中では御坊ボーイズに所属。田辺では1年秋から背番号6でベンチ入り。目標の選手は巨人坂本勇人。183センチ、77キロ。右投げ右打ち。
■チャンス強い
天理(奈良) 名門には不動の4番松本大和内野手(3年)がいる。13年ぶりに優勝した春の県大会では打率4割2分9厘をマーク。「チャンスに強く1本は出せる」と自身を分析するほどの勝負強さを持つ。今年1月に藤原忠理監督(59)が就任。天理大など大学指導歴30年の指揮官も「凡打に終わっても彼の強い力強いスイングはみんなに勇気を与える」と期待する。
■陸上兼任の俊足
大阪桐蔭(大阪) 境亮陽(りょうや)外野手(3年)が、走攻守でチームをけん引する。中学時代は野球と二足のわらじで陸上部にも所属。50メートル走で5秒8の韋駄天(いだてん)は、今春センバツ2回戦の神村学園(鹿児島)戦で右越えのランニング本塁打を記録。高いミート力に守備でも強肩さく裂と、超高校級の身体能力を見せた。2年ぶりの夏の甲子園へ、欠かすことのできないキーマンだ。
■プロか米か
桐朋(西東京) プロ注目の高偏差値二刀流、森井翔太郎内野手(3年)が西東京を盛り上げる。偏差値71の進学校。投げては最速152キロ、打っては5月下旬で高校通算39本塁打を記録し、日米スカウトも度々視察に訪れる。「確実性は打撃の方がある」と打者に自信を持つ。プロもしくは米大学進学希望で、夏は「チームとしては8強進出」と目標を掲げた。
■牧憧れ強打者
松商学園(長野) 丸山慧也外野手(3年)は名門の4番を張る強打者だ。県外校から転校したため、1年間は公式戦に出られず高校通算18本塁打。「長打力やスイングスピードの速さが売りです」と胸を張る。地元の長野・中野市はDeNA牧の故郷。同じ右のスラッガー。「自分も牧さんのような打者になりたいです」と夢見て、仲間たちのためにバットを振りまくる。










