リーグきっての「大谷キラー」が、ドジャースに加わった。ライバル球団パドレスで、タナー・スコット投手(30)は、昨季のポストシーズン(PS)で大谷翔平から4打席で4三振を奪った。公式戦でも通算9打数1安打3三振。打率1割1分1厘に抑えてきた。

パドレスから今シーズンにドジャース入りしたスコット(AP)
パドレスから今シーズンにドジャース入りしたスコット(AP)

唯一の安打を許したのは、昨年9月26日のドジャースタジアム。2-2の7回1死一、二塁から外角高めへのスライダーを右前に運ばれた。これが地区優勝を決める、勝ち越し打となった。「彼は素晴らしい打者。良いスイングをされた、美しいスイングだった」とたたえた。しかし、PSでは大事な場面に登場しては、お返しとばかりに4打席連続三振を奪い、意地を見せた。

昨季はマーリンズとパドレスの2球団で合計72試合に登板し、9勝6敗22セーブ、防御率1・75とキャリアハイの大活躍だった。ベースボールリファレンス版のWAR(最低年俸クラスで代替できる選手と比較し、上積みできる仮想勝利数)は4・0で、ナ・リーグ投手で8位。救援投手ではトップだった。オフにはFAとなり、大争奪戦が巻き起こった。

ド軍と結んだ契約は4年総額7200万ドル(約112億円)と、救援投手としては大金だった。しかも、ド軍が連発している「後払い」が2100万ドル(約32億6000万円)含まれる。スコットの契約合意が報じられたのは、佐々木朗希の契約合意発表から、わずか2日後。「素晴らしいチームだし、新しい選手がどんどん加わっている。様子を見ているだけでもワクワクする。自分も一員になれてうれしい」と喜んだ。

その後、昨季レンジャーズで33セーブを挙げた右腕カービー・イェイツ投手(37)も加入が決定した。左右のクローザー候補がそろった。さすがにヤンキースなど、他球団のオーナーが金満補強を批判する一幕もあった。スコットは「電話が鳴ったら、すぐに準備する。それが自分の役割だ。ただ、勝ちたいんだ」と、どんな役割でも受け入れる姿勢を見せた。ロバーツ監督はその後、メインの抑えにスコットを起用する考えを明かしている。

昨季は地区優勝を争った同一地区のライバルから、強力左腕を奪ったド軍は、笑いが止まらない。ゴームズGMは「当然、彼の加入を知った時、我々の投手陣はものすごく興奮していた。ただ、それ以上に印象的だったのは、タナーの実力を物語る話なんだけど、実はうちの打撃陣も同じくらい喜んでいたんだ。もう彼と対戦する必要がなくなったからね」。地区シリーズでは4試合、3回で2安打無失点、5三振。手も足も出なかった。

ド軍は昨季、20セーブ以上を挙げた投手がいなかった。固定できなかった抑えは、最強軍団にとって唯一の弱点とみられていた。スコットは「去年はプレーオフでドジャースに負けた。とにかく僕は勝ちたいんだ」。初のワールドシリーズ登板へ、フル回転を誓っている。【斎藤直樹】

スコットの年度別メジャー成績
スコットの年度別メジャー成績

◆タナー・スコット 1994年7月22日、米国オハイオ州ウォーレン生まれ。ハワード・カレッジから14年ドラフト6巡目(全体181位)でオリオールズ入団。17年9月メジャーデビュー。22年からマーリンズに所属し、在籍3年で50セーブ。24年7月にパドレス移籍。21年から4年連続で60試合登板。24年球宴出場。今季年俸1600万ドル(約24億円)。183センチ、106キロ。左投げ右打ち。