<イースタンリーグ:DeNA4-3楽天>◇28日◇横須賀

高卒プロ2年目のDeNA・小園健太投手(20=市和歌山)の現状をリポートする。先発して5回で103球を投げ、7安打5四球、3失点だった。

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21年の選抜大会で小園-松川バッテリーを見ていた。その時は制球の良さが印象にあっただけに、この試合の制球の不安定さは少し意外だった。

昨年は3試合で計4回2/3。今季は6度目の先発で、編成担当に聞くといずれも5イニングは投げているということだった。計画的に段階を踏み、先発として長いイニングを投げられるようにということだろう。

この試合の最速はトラックマンデータでは144キロ。市和歌山では150キロを出していたと記憶している。球速はまだ出るとは感じるが、気になる真っすぐのキレ。まだまだここから、という感じだった。

剛速球投手ではない。ヤクルトの奥川と似たタイプに感じる。真っすぐのキレと制球、そして変化球とのコンビネーションで、総合力として抑える本格派というイメージだ。

103球のうち真っすぐは42球、カットボールとスライダーが計42球、スプリットが18球、カーブ1球という内訳だった。5四球のうちストレートの四球は1度、あとはフルカウントから、真っすぐ、カットボールかスライダーがボールになっての四球だった。

コントロールが悪いというよりも、高校時代のような安定した制球ではないな、という感じがした。まだまだ真っすぐの質は上がっていくだろうし、球質とともに制球も出てくるのではないか。

その中でもっとも印象に残ったのはカットボールだった。カウント球としていいアクセントになっていた。右バッターの外角と、左バッターの外角で、しっかりストライクが取れていた。

特に左バッターに対する初球、2球目に外角から中へ入れるカウント球として、しっかり操れていた。ここで、左打者の内角にもこのカットボールが使えるとさらに幅が出る。1回だけ左バッターの内角に使って右飛に仕留めた。

この攻め方が常に実践できると、小園のピッチングはさらに安定するだろう。真っすぐの強さはここからまだレベルアップは望める。そこにカウント球としてのカットボールを加えていけば、スプリットも含め先発としての必要条件は満たす。

どのピッチャーにも同じことが言えるが、基本は真っすぐ。小園の真っすぐは高校時代の印象からしても、こんなものではないだろう。たまたまこの日の真っすぐがいまひとつだったのかもしれない。次回、さらにキレのある真っすぐで、どんなピッチングを見せてくれるか期待したい。

そういえば、先日ロッテ松川(市和歌山で小園とバッテリーを組んでいた)のリポートをしたばかりだった。松川はルーキーイヤーで目を見張る活躍をして、迎えた2年目はファームの試合で鍛える日々。一方の小園は、球団が描く計画に沿って、少しずつ階段を上っている感じがする。

21年のドラフトではバッテリーで高校生ドラフト1位指名を受け注目された。それぞれに、置かれた状況は異なるが、2人とも高卒2年目として、それぞれのテーマに取り組む毎日。

私なりに、松川はキャッチング、小園は真っすぐという課題を感じた。次回、試合でプレーする2人がどんな成長曲線を描くか、過大に期待せず、じっくり見守りたい。(日刊スポーツ評論家)