今夏の甲子園で、日本高校野球連盟が大きな規則改定を行った。

新型コロナウイルスの集団感染と認定された出場チームは「部員の誰とでも入れ替え可能」とする新ガイドライン。もちろん代替選手の陰性が絶対条件だが、出場辞退を避けるためには有効な措置だった。

入れ替えにあたり新たに呼ばれた選手は、3年生より下級生が多かった。すでに引退状態にある3年生が多く、下級生が選ばれるのは仕方のないことだ。

集団感染の県岐阜商は大会中に10人を入れ替えざるを得なくなった。外れたメンバーのうち5人が3年生。一方、代替メンバーに3年生はいなかった。

「今の3年生はコロナに翻弄(ほんろう)された。残念で仕方がない」。鍛治舎巧監督(71)の言葉には無念さがにじんでいた。本当は1人でも多くの3年生に甲子園の土を踏んでもらいたかったはずだ。

記者は、当初からメンバー外だった3年生部員の気持ちを想像した。

地方大会のメンバーは通常、6月中に決まる。背番号をもらえなかった3年生のほとんどはその瞬間、事実上の引退となり、データ班や打撃投手などサポートに専念する。夏のメンバー発表は、けじめの儀式のようなものだ。

しかし新ルールによって思いもよらず、全部員に甲子園出場の可能性が生まれた。サポート役に転じて1カ月以上が経過している3年生はこの報を聞いたとき、どんな心境だっただろうか。

来夏にはコロナ禍が終息していることを強く願っている。今大会、全ての試合が行われた喜びをかみしめると同時に、彼らの声もあらためて聞きに行きたいと思った。【柏原誠】