「リンゴ・スターに似てるな」。マルテが阪神に入団したときに思った。個人の感想です。リンゴ・スターを知らない人はいないとは思うが、念のため、ビートルズのメンバーだ。ビートルズを知らない人はもっといないと思うが60年代から70年代にかけて活躍した4人組バンド。人気バンドというよりも音楽界を変えた存在でまさに別格だ。

そのビートルズは66年に最初で最後の日本公演を行っている。来日したのがちょうど54年前の6月29日だ。音楽に詳しいわけではないが4人がハッピを着てJAL機から降りてくるニュース映像を見たことのある人もいるのでは。

ビートルズには関係ないが阪神の主軸にも来日した外国人が並ぶ。マルテ、ボーア、サンズ。こちらは3人組だが阪神の歴史を変える存在になれるのか。どうか。外国人野手3人が同時に出場し、全員が安打を放ち、そろって打点をマークしたのは前日27日が球団史上初と記録にあった。

それはいいが翌日は一転して機能しないのだから、もう前座に見えても“国産メンバー”を続けて使った方がいいのでは…などと勝手なことを思ってしまう。

苦しい。本当に苦しい。これで開幕から3カードを終え、2勝7敗。借金5。スタートダッシュには完全に失敗したし、巻き返す気配も見えない。

この日はいい形で1点を先制したが先発が踏ん張れず、中継ぎも打たれる。外国人トリオを中心にした打線はやっぱり元気がない。結果はもちろん指揮官の責任だが、打たれるわ、打たんわでは、正直、どうにもならない。そういう状況になっていることを含めての責任なのだが、それにしても厳しい。

「苦しい状況っていうのはすぐに抜け出せないかもしれないけど、きょうみたいにみんなでやっていって。何とかこの1勝を明日につなげます」。前日27日の勝利後、矢野燿大はそう言ったがうまくいかない。

シーズンには必ず起こる不調の時期、底の状態が最初からいきなり来たのか。それともこれがまだ続くのか。暗くなる一方だ。

「レット・イット・ビー」。ビートルズの代表曲の1つだ。和訳は結構、難しいが、以前に「あるがままを心静かに受け入れなさい」と訳しているのを見た。物事は自力だけでは変えられないものだ。流れが来るまでこらえるしかない。そんな心境である。(敬称略)

DeNA対阪神 4回表阪神無死、右翼線へ二塁打を放つマルテ(撮影・上田博志)
DeNA対阪神 4回表阪神無死、右翼線へ二塁打を放つマルテ(撮影・上田博志)