世の中は「諸行無常」である。それにしても横浜スタジアムでこんなに苦しむ阪神を見るとは思わなかった。この連敗で今季のDeNA戦は8勝10敗と2つの負け越しに。その中で目立つのは昨季まで阪神がホームのようにハツラツとしていた敵地・横浜で負け続けていることだ。

ここまで10試合を戦って2勝8敗の負けっぷり。勝ったのは5月14、15日のデーゲーム2試合なのでナイターはまだ未勝利だ。阪神勝利の“花火”はまだ上げられていないのである。「横浜銀行」などと言った昔話は別にしても横浜でこんな状況になるとは、正直、予想できなかった。

そんな結果以上に阪神にとっては苦しい内容だろう。試合前に近本光司がコロナ禍にともなう「特例2022」で離脱。前日は中野拓夢が不在となった。阪神最大の持ち味であるスピードを生かす2人が外れた試合で連敗だ。大山悠輔もおらず、レギュラー3人欠いた試合に負けて貯金は「1」、3位転落だ。

「1、3、5番がいないんだから、そらもう、やりくりも大変だし。でも試合をやる以上は粘るしかなんで」。指揮官・矢野燿大も虎番キャップたちを相手に少々、やけ気味に? 話したようだがヤクルトを追う勝負どころでこの状況は気の毒な気もする。

内容もよくない。8回2死からスタメン二塁・山本泰寛の失策から一気に3失点しての敗戦。流れの悪さを感じてしまう。「特例2022」の代替選手で昇格してきた江越大賀にも送球ミスが記録された。

思い出すのは7月24日のDeNA戦(甲子園)だ。この日に抑えられた左腕・浜口遥大を相手に1-0で勝利。その時点で46勝46敗となり、今季初めて5割に復帰した。それから「貯金生活」を続けていたが、もし11日の19回戦にも負ければ5割に逆戻りとなる。同じ5割でも意味合いはまったく違ってくるのだ。

せっかくヤクルトが負けているのに…などと言っているうちに3位転落だ。それでも首位とのゲーム差は開いていないとも言える。まずは、とにかく11日に勝つことだ。

幸いにも選手のモチベーションは保たれている様子。先発・伊藤将司はブルペンを休ませた。6回二ゴロでの木浪聖也、9回にあわてて帰塁したロハスも頭から飛び込んでいた。今はしのぎどき、全員野球で3連敗を避けろ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)