きょう4月12日は加藤哲郎の誕生日だ。61歳。唐突で恐縮だが往年の野球ファンなら、その名前は知っているだろう。89年、近鉄と巨人が戦った日本シリーズ。近鉄の主力投手として第3戦に先発、チームを3連勝に導いた右腕である。
現在は実業家となっている加藤が有名なのは試合後に報道されたことによるものだ。あの「巨人はロッテより弱い」発言である。実は加藤自身はそういう表現は使っていないのだが「シーズンの方がきつかった。相手も強いし」などと語ったことで、パ・リーグの最下位だったロッテを引き合いに出され、そういう報道になったのである。
これで発奮した巨人がそこから4連勝し、逆転日本一を飾ったことで知られるシリーズ。「加藤のあれがなければ…」などと今でも言われるのだが、そういうことも含めてプロ野球は面白いと、思っている。
阪神の話だ。この日、甲子園で中日相手に快勝。ようやく今季初、ホームゲーム、甲子園での初勝利を手にした。ここまでジリジリした戦いが続く上に、前日は降雨ノーゲーム。いやな流れを感じていた。
この日からは今季初の中日戦だ。セ・リーグでもっとも苦しんでいる上、甲子園での中日戦には驚異的なデータがある。昨年、中日はここ甲子園で11試合を戦い、10敗1分け。なんと1勝もしていない。
こういう要素からすればファンは「この日は勝てる」と思うかもしれない。だが、この世界、そういうときがイヤなのだ。相手先発は好投手・高橋宏斗。こちらも開幕投手・村上頌樹だが、さあ、どんな試合になるか。そう思っていた。
はたして村上がいきなり被弾する。2点を先制された。おやおや。だが、やはり中日サイドからのジンクスは生きていたようだ。その裏、阪神打線は中野拓夢からの5連打で一気に逆転。その後も優勢に試合を進め、指揮官・藤川球児は甲子園初勝利を手にした。
中日の昨季データについて球児は試合前に知ったという。「対戦表を見て、試合直前に知りましたね。悪い意識をつけてはいけないと思いますけど。丁寧にやることは変わらないので」。そのときのメンタルを聞くと、そう答えた。当然ながら球児も分かっている。言うまでもない、相手もプロ。この試合も流れが変わりそうな場面はあった。油断大敵だ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




