首位・阪神は最高の滑り出しだ。

右腕2枚看板の1人、才木浩人が無四球完封で今季8勝目。攻めては球界のスターに成長してきた主砲・佐藤輝明が本塁打王争い断トツの26号ソロだ。投打の主役が活躍し、虎党なら「もう優勝したも同然よ」となる試合だろう。

それでも広島3連覇監督・緒方孝市(日刊スポーツ評論家)の言葉を借りれば「勝負は紙一重」。この試合もまさにそうだったかもしれない。安打数はDeNAの方が多かった。失策はともに「1」。三振も両軍「9」を喫するなど接戦だったと言える。

流れの面で大きかったのは1回裏か。2死一塁から佐藤輝が内野に打ち上げた打球をDeNA内野陣が“お見合い”したことをキッカケに大山の適時打で先制。その後の展開を見れば、これは大きかった。

ちょっとしたことでどちらに転ぶか分からないのが野球、勝負だ。あらためて実感したのだが、そんな中でシブく光ったのが3番・森下翔太ではないか。1、3回、そして8回に四球を選んで出塁。タイプ的にガンガン打ちたいだろうがボール球を見極めたのだ。1回は森下の四球がなければ佐藤輝の幸運な内野安打もなかった。森下の1試合3四球は今季初である。

「どこでつながるか本当に分からないですから。タイガースらしい野球だったんじゃないかと思う」。1回に森下が歩いたことについて指揮官・藤川球児はそう振り返った。

これで森下の今季通算四球は「36」に。「35」の中日・岡林勇希、巨人・吉川尚輝を抜いてリーグ4位に浮上した。四球数のベスト3は大山(41)、近本光司(38)、そして佐藤輝(37)なので上位4位まで阪神勢が独占する形だ。さらに中野拓夢がこの日1四球を選び「35」の5位タイに。6位は「32」の坂本誠志郎だ。阪神のレギュラー格が、みんな、ここにいる。

圧倒的なチーム防御率、トップクラスのチーム打率と投打ともに好調なことに加え、四球もこれ。今季の強さは数字で裏打ちされているということだ。そして四球に関して言えば前監督・岡田彰布(オーナー付顧問)が査定を変更してまで重要視してきたもの。

指揮官が代わってもそれが根付いているのはいいことだと思うし、球児が「タイガースらしい」と言ったように、これが阪神の“伝統”になっていけば頼もしいのである。(敬称略)

【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

阪神対DeNA 3回裏阪神1死一塁、四球を選んだ森下はガッツポーズをする(撮影・上田博志)
阪神対DeNA 3回裏阪神1死一塁、四球を選んだ森下はガッツポーズをする(撮影・上田博志)