現役ドラフトは興味深い制度だ。正確ではないが“12球団同時トレード”とも言いたくなる仕組み。阪神に関して言えば、大竹耕太郎のように成功例が目立つので虎党のイメージはいいのではないか。
この時期になれば担当記者の間で、いささか不謹慎? な話題が出る。誰が現ドラ候補として名前が挙がるか、だ。当たる場合もあるがもちろん外すことも。その意味で井上広大は記者、虎党の脳裏にも浮かんでいた名前かもしれない。
1位が西純矢と、高校生の指名が目立った19年ドラフトの2位。履正社(大阪)から入団し、長らく出ていない高卒のレギュラー野手を目指していた。チャンスをもらう場面もあったがモノにできず、チームを去ることになった。大阪出身でもあり、期待していたがこればかりは仕方がない。
そして浜田太貴である。こちらは井上より1歳年長。18年ドラフト4位で明豊からヤクルトに入団している。井上と同じく高卒からのプロ入りで来季が7年目だ。イキのいいスイングをするイメージがある。
同時トレードと書いたが井上を出し、浜田を獲得するというのはトレードではあまり実現しないパターンかもしれない。同じような年齢の外野手同士だ。井上が行くロッテは阪神同様、熱いファンがいる。浜田はすでに虎党の雰囲気は知っているだろう。新天地が2人にとって活躍のきっかけになればいいと思う。
阪神が浜田を獲得した狙いはハッキリしている。外野の一角、基本的には左翼手争い戦線に放り込むことだろう。パンチのある右打者がラインアップに加われば、連覇を狙う来季へ強い武器になる。
思うのは、この現役ドラフト、2巡目の選手も用意されていたということだ。今年も2巡目指名はなかったので、例えば阪神が次に誰を候補にしていたか…が表に出ることはない。外部はもちろん、選手にも伝えられていないはずだ。
「(選手間の)競争、競争というけどな。誰を使うか、最後はこっち(監督)が決めるんや」
これは闘将・星野仙一が話していたことだ。競争の結果、最後に選んでもらう。どう考えても選手の立場からすればそれしかない。
「幻のリスト」に載せられていたのは誰か。「自分だったはず」-。そう思ってレベルアップに取り組むところから、多くの選手の戦いは始まると思う。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




