試合前、ただならぬオーラを醸し出すあの男とあいさつしたのである。少し大げさだが、やはり敵将・新庄剛志は気配が違う。前日はタイミングなく、2月のキャンプ以来、顔を合わせた形だが「お疲れです」と声をかけると「おお!」と握手。そこで、こちらが何も言わないのにこんなことを口にするではないか。

「もう、球場、最高ですわ。懐かしいし…」。言うまでもなく甲子園のことだ。昨年はエスコンでの3連戦だった。今年は2年ぶりの甲子園。かつて虎のプリンスと言われた新庄は慣れ親しんだ甲子園のことは忘れられない様子である。

そんなテンションが影響したのか。阪神は森下翔太の1発を含む12安打を放ちながらも2得点に終わり、日本ハムの前に逆転負けで2連敗を喫した。

何と言っても展開がよくない。最たるものは5回だろう。4回まで日本ハム打線を手玉に取っていた大竹耕太郎が2死二塁のピンチ。打者は8番の進藤勇也を迎えた。次打者はセ・リーグ主催試合なので投手・加藤貴之だ。

それもあってか申告敬遠でこそないが無理に勝負に行かず、進藤を歩かせて加藤での勝負となった。ところがその加藤に中前にはじき返される。挙げ句の果てに中堅・高寺望夢が本塁に悪送球。次打者にも適時打を浴びるなど、この回、3失点だ。

相手がうまくつないだと言えばそれまでだが、阪神サイドからすればよろしくない失点の形だった。直後の森下の本塁打で1点差にしたが、これも3番手・及川雅貴が粘れず、最近の阪神としてはあまり見ない負けゲームとなった。

もっとも指揮官・藤川球児の表情は暗くない。試合前には敵将と少し、話し込む様子もあり「内容は言えないけれど、健闘をたたえ合うような」と説明。「選手の表情もいいし、つながりをもたせるのも、どう連動していくのかっていうのも我慢が必要。続けてやっていくことですね」。そうも話し、安打が出ていることをプラスにとらえたのである。

この連敗で日本ハムとの交流戦は阪神から見て、37勝38敗1分けとなった。3戦目に阪神が勝てば、まったくのタイだ。甲子園をこよなく愛する新庄が率いるファイターズと「球児」と、そのものズバリの名を持つ男が指揮を執るタイガース。その今季最終戦に注目したい。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)