次は打って泣け。結論を先に書けばそういうことだ。若者らしいのか。あるいは最近の若者にしては…ということなのか。何が正解かは分からないが、試合後、立石正広の両目は真っ赤だった。締まった試合展開の末の敗戦。自分に1本出ていれば…。そんな思いは当然、あっただろう。
詳しくは虎番記者の記事で読んでいただくとして、交流戦Vのかかる西武を相手に久しぶりの甲子園でのゲームだった。そこで幕引き打者にもなった立石は4打席4三振である。特に7回の1死一、三塁の好機でウインゲンターの前に見逃し三振に倒れた後は目を潤ませる場面がテレビ画面に抜かれていたようだ。
悔しいだろう。だがあえて言わせてもらえば、泣いている場合ではないかも…ということだ。鳴り物入りルーキーでも新人は新人である。相手は同じ新人を除けば、年下でも、全員プロとしての先輩だ。成功すれば億万長者、ダメなら若くして職がなくなるリスクもある。考えてみれば、おそろしい世界なのだ。
いくらアマの舞台で比類なき存在だったとしてもワケが違う。あえて厳しく言わせてもらえば、ルーキーが結果が出なくて泣く…というのは考えてみれば違ううような気もするのだ。そこに加えて、阪神タイガースである。11球団のどこよりも注目が集まってしまう。活躍すれば天国。ダメなら…の世界だ。
そうは言っても悔しいものは悔しいだろう。森下翔太も打てなくてベンチで泣いたことがある。前川右京にもそういう場面を見た。個人的なことを言ってしまうが、そういう選手は大好きである。
いいではないか。感情を出し、悔しさをバネにすればいい。打っても打てなくても起用さえしてもらえれば次のチャンスは来る。いつまでも…ということはないけれど自分次第で期限はないのだ。
「強過ぎる刺激なのかどうかということは選手によって成長具合も違うので…」。立石の起用を続ける指揮官・藤川球児はそういう前置きをした上で「一番、重要なことはしっかり活躍できる選手になっていく、心も強く、体も強く…」と話した。
交流戦ラスト、リーグ戦再開のタイミングで登録抹消ということになるかもしれない。それでもいいのだ。再び、はい上がってくる、そこを見たい。立石の勝負はここからだ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




