「これはあれか…」。そう思ったのは3回、高橋遥人が牧秀悟に四球を出したときである。フルカウントからの7球目、おそらくツーシームが低めに外れ、歩かせた。この四球を「あれ」と思ったのだ。

開幕9連勝をはたした高橋はこの日を含め、ここまで11試合に投げ、出した四球は10個だ。完投したこの日は牧のこれだけ。1試合に1四球以下の割合だ。それ自体、非凡だが、その出し方というか、出す場面に味があるように思う。

この日、牧には1回に安打を許していた。言うまでもなく強打者だ。フルカウントからコースを狙っていけばピシッと抑える場合はあるが痛打の可能性も否定できない。その気配を察して、きわどいところに投げる。その結果の四球だ。

今季を振り返ると高橋はそういう四球が多い。長くなるので詳しくは書かないが、要するにここ一番だったり、序盤でも打たれると流れが変わるといった場面で無理に勝負にいかず、結果として四球になるケースが目立つのだ。

ずっと見ていて「歩かせてしまった」という四球は前回登板、13日オリックス戦の6回、池田陵真に出したそれぐらいではないか、と思う。現時点で本人にそのあたりを聞いたことはないし、分かったようなことを言って申し訳ないが、捕手のリードはもちろん、キッチリ投げきる制球力がすさまじいのだ。

「四球は安打と同じよ」と言ったのは前監督の岡田彰布(オーナー付顧問)だ。「先頭への四球は得点になるんや」と断言したのは闘将・星野仙一。捕手出身だった元監督・矢野燿大は「投手がイヤがっても歩かせないといけない場面はある」という考えだ。今季10個の四球で出した10走者を、高橋は、すべてホームにかえしていない。そもそも失点が少ないのだが。

DeNA先発はソフトバンクから来た尾形崇斗だった。ハッキリ言って阪神打線が苦手とするパワーピッチャーである。しかし3回、尾形から選んだ2四球をキッカケに2点を先制したのだ。この日に限って言えば、そこが両先発投手の明らかな差だったと思う。

Aクラス対Bクラスだったセ・リーグのこの3連戦だ。雨の影響で阪神は2試合で2勝。負け越した巨人、ヤクルトを抜き、単独首位に浮上した。まだ先は長いが「横浜での遥人の9勝目が…」という試合になるかもしれない。(敬称略)