延長11回、阪神がサヨナラ勝利を決めた試合は“前哨戦”か。そんな気がするのはDeNA2投手の登板があったからだ。7回裏、浜地真澄がマウンドに上がる。言わずと知れた元猛虎戦士だ。虎党がジェット風船を飛ばすタイミングだったのでほとんど歓声は上がらなかったが阪神在籍時以来の甲子園登板で3者凡退の好投を見せた。
「おお」と思わせたのは9回裏だ。回またぎになった伊勢大夢にアクシデントがあったようで岩田将貴が急きょ登板した。阪神ではほとんど活躍できなかったが彼もかつて阪神に所属していた変速左腕投手だ。
そして古巣相手の大トリとして22日、藤浪晋太郎が先発してくる。阪神戦での登板は初めて。8回表の前に予告先発が発表されるとネットで知っていた虎党も多い様子だったが、どよめきは上がった。
甲子園のマウンドに上がるのも阪神在籍時の22年9月18日のヤクルト戦以来、約4年ぶり。「シンプルに久しぶりだなと思いました。そんなに重たい感情はないです。集中すべきはゲーム。(特別な感情は)ゼロというわけじゃないがタイガースというよりは強いチームを相手にするというところ」。DeNA担当記者に気持ちを引き締めるようにそんなことを話した。
もっとも前日、大阪桐蔭、阪神での先輩である岩田稔(日刊スポーツ評論家)と談笑している際は「投げるなら楽しみですね。どんな雰囲気になるんでしょうね」などと笑顔を見せていたものだ。
何といっても阪神の看板だった男である。かつてアマ球界には「有望選手は阪神には行かせたくない」というムードがあったという。人気はあるが球団として結果が出ないし、進路先として勧められないムードだったと聞く。
それを払拭(ふっしょく)した1人がドラフトでくじを引いた阪神に気持ちよく入団した藤浪だろう。大げさな見方かもしれないが藤浪の例があり、佐藤輝明や立石正広といった面々につながっている気もする。
その藤浪、阪神時代の最初はよかったが徐々に制球難に苦しみ、現在の状況になっているのは周知の事実。そんな男が古巣戦でどんな姿を見せるのか。「話題でしょうけど、こちらは普段と変わらない姿で明日の試合に臨むというところ」。球児はそう言った。普段と違った意味でも目が離せない一戦だ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




