ピンチか、あるいはチャンスか。後半戦開始を前に阪神は大きな岐路に立っているかもしれない。そんな気がする。本塁打王・森下翔太不在のリスタートとなる可能性が高いからだ。
29日の球宴第2戦(富山)を体調不良のため欠場した森下だが30日の登録抹消はなかった。表現は「下半身のコンディション不良」。これだけではなかなか分からないとファンはヤキモキするだろうが、最近はどのチームもそういう発表にとどめる。いずれにしても球宴を休むほどの現状ということだろう。
「プレーしていればね、必ずそういうことはありますから。ファン投票1位の選手ですから、これは明日、明後日になってみてからですね」。29日の段階で阪神指揮官、そして全セの監督を務めた藤川球児はそう話すだけだった。
「3番ライト」の森下は言うまでもない阪神における主軸である。万が一、そこが抜ければ。強打者1人がいなくなったということでは終わらない。野球を知る方ならすぐに分かるだろうが佐藤輝明、大山悠輔を含めた打線そのもの、得点力に大きく影響してくるのだ。
それでもと、思う。万が一…と書いたが阪神は、今季、すでに主力が抜ける状態を経験している。4月に近本光司が死球による骨折で離脱。それでもその間、チーム状態が激しく落ち込むことはなかった。高寺望夢らが存在感を示し、穴を埋めたからである。
もちろん基本、チャンスメークが仕事である近本と、走者をかえす森下の場合は違うだろう。それでも、もしも森下がしばらく出場できなくとも、その部分を他の選手でカバーできれば。阪神はもっと強くなれると思うのだ。「黄金時代」とはそういうことのはず。
大リーグ思考の強い佐藤同様、森下もそういう理想を持っていると見る。いずれにせよ、どの選手もいつかはいなくなると考えておくことは大事だろう。それに備えて次の選手を育てる。とても難しいけれど重要なことだ。
「すべてのゲームで(主力)選手が出るとは限らないかもしれない。前もってお伝えしておかなければ」。後半戦を前に球児はそう言った。誰かが抜ければ誰かがカバーする。それができなければ連覇を目指すチームにとっては大きなピンチ、できればチャンスなのだ。今季の長期ロードは神宮から始まる。(敬称略)




