5年ぶり夏の甲子園を狙う報徳学園が、3点のリードを逆転されながら、7回に追いつき、9回裏、森井拓真外野手(3年)の中前打でサヨナラ勝ち。“逆転の報徳”のお株を奪われたが、最後は伝統の力を見せつけた。

 初球のどんな球でも打っていくつもりだった。緩いカーブがきた。9回裏1死二塁、前の打席で同点打を放っていた4番・森井は「前半は緩い球で、やられていたので積極的にいくことを心がけていました」。強い当たりがセンターへ抜けた瞬間「(二塁走者の)田原は足が速いので、いけると思いました」とサヨナラを確信した。

 2番手で登板した背番号1、主島大虎(だいご=2年)の力投も大きかった。交代直後こそ連打を浴び逆転を許したが「3者凡退に抑えれば、野手がなんとかしてくれると思った」。8、9回は6者連続三振に打ち取り、流れを呼び込んだ。

 苦しみながら初戦を突破した永田裕治監督(51)は「逆転されたときも、何も言いませんでした。選手たちがもっと活力を出していかないと、夏は勝ち抜けませんから」。あえて“放任主義”で粘り勝ちした1勝は聖地への大きな力となるはずだ。【坂祐三】