青森山田が昨年優勝の敦賀気比(福井)に0-1で敗れ、初戦突破はならなかった。エース堀岡隼人(3年)が3安打に抑える好投をみせたが、3回裏に打たれた適時打の1点に泣いた。打線は敦賀気比のエース山崎颯一郎(3年)に4安打9三振に抑えられ、無得点に終わった。しかし、持ち味の投手中心の堅い守りは大舞台でも発揮され、夏へつながる試合運びだった。

 3回裏2死からだった。堀岡は敦賀気比の1番に三塁内野安打で出塁を許した。2番に四球を出し、一、二塁。続く打者は昨年優勝メンバーでただ1人残った3番林中勇輝(3年)。フルカウントからストレートを右前に打たれた。「四球を出さず、林中も追い込んでいれば」と兜森崇朗監督(36)が堀岡の投球で唯一残念がる場面だった。

 失点はこの1点だけ。威力のある速球と鋭い変化球で、長打は許さなかった。大会屈指の好投手、山崎と互角に投げ合った。兜森監督は「ひと冬のトレーニングで球威も制球力も上がった。秋に比べて投げ損じの球が減り、悪いボールが続かなくなった。堀岡の成長がチームの成長になった」とエースをたたえた。

 堀岡はひと冬で体重が8キロ増えた。ウエートトレーニングなどに打ち込み、学校からスキー場のある青森市雲谷(もや)地区の山まで約10キロを雪中ランニングした。堀岡は「練習を一生懸命やったが、まだ足りなかったのかもしれない。ここ(甲子園)に帰って来られるよう、たくさん練習していきたい」。兜森監督は「まだまだ成長できる」と期待した。

 昨秋は東北大会初優勝の原動力になった。神宮大会初戦(準々決勝)では名門東邦(愛知)を3回以降2失点に抑えて破った(4-3)。たくましさを増して臨んだ春の甲子園。「コントロール、1球に対する集中がまだまだ。でも楽しく投げた。甲子園で投げることができて幸せです」と堀岡は笑顔もみせた。

 守備は無失策。兜森監督は「投手を含めた守りはよかった」と評価。だが「打線は粘り強さが足りず、決定的なチャンスをつくれなかった。スコアは0-1でも、全国レベルにはまだ差がある」と甲子園初采配で厳しさも味わった。「監督として勝たせてやれなかったのが残念。夏はこんな試合でも勝つチームにしてくる」と闘志をみせた。【北村宏平】