日本文理(新潟)は富山第一に8-5で逆転勝ちした。6回まで1-5と引き離されたが、3-5で迎えた9回に一挙5点をもぎ取り、ゲームをひっくり返した。5-5の2死満塁で、7回から代打出場していた松木一真(2年)が走者一掃の左翼線二塁打を放ち、一気に突き放した。大会直前の登録変更で新規登録された「打の男」が逆転劇の立役者になった。今日16日の準々決勝は長野商(長野2位)と対戦する。
勝利への執念が乗り移った打球は、三塁手の頭を越えて左翼線のフェアグラウンドに弾んだ。5-5の2死満塁。松木が初球のスライダーを外野まで運んだ。「気持ちで打つしかない」と放った安打は、勝ち越しとなる走者一掃の二塁打。7回に代打で途中出場した「打の男」がラッキーボーイになった。
「よく粘って勝てた。最後まで諦めないという、先輩たちが築いたものを出した。これは伝統にしていきたい」。大井道夫監督(75)は09年夏の甲子園決勝を引き合いに出した。中京大中京(愛知)に4-10の9回2死から1点差まで追い詰めた驚異の粘りだ。そんな粘りをこの日、演出したのは松木だった。
1-5で迎えた終盤の7回。先頭で代打に出た松木は中堅へ二塁打を放ち、反撃の導火線に火をつけた。本来なら代走を送って“お役御免”になるところながら、大井監督は「もう1回、打順が巡ってくる」とそのまま右翼手として残した。指揮官の采配はピタリ、当たった。
大会直前の選手登録変更で松木は急きょ、登録メンバー入り。10日の山形遠征で山形南、酒田南との練習試合2連戦でともに代打から登場して通算3打数3安打。「最後の(練習)試合で結果を出した。チャンスをものにした」と大井監督は登録変更の理由を話した。公式戦でもチャンスをものにして、悪い流れを味方に引き寄せ、チームを救った。
松木はこの日、3打数2安打の4打点。打席での集中度が違った。「代打で出ることが多いから、1打席で1安打を打つしかない」と、バットに気持ちを吹き込んだ。秋の県大会も登録を外れていたが「毎日、ひたすら打ってきた。登録メンバーが発表されても“入るんだ”という気持ちでアピールしてきた」。幸運をつかんだ松木は北信越でも、その「運」を手放していなかった。【涌井幹雄】

