「聖なる対決」にホームランはいらない。15日の全国高校野球選手権2回戦4試合は雨天のため中止となり、今日16日に順延となった。聖光学院(福島)は15日、甲子園の室内練習場で調整した。対戦相手の聖心ウルスラ学園(宮崎)とは同じ宿舎で、ユニホームの胸文字や色合いが似る。斎藤智也監督(54)は打線のつながりを勝利の鍵とした。

 「聖なる対決」に「斎藤節」で周囲を笑わせた。雨天順延となった聖光学院・斎藤監督は「寿命が1日延びた」と言った。聖心ウルスラ学園の研究を、十分に行ったことも明かし「同じ屋根の下で(相手も)同じことをやっている。毎日すれ違っている。変な感じがする」。大阪市内の宿舎はくしくも同じホテル。互いに1回戦を勝った10日に対戦が決定。不思議なムードが1週間近く続いている。

 ユニホームの胸文字は、漢字の横書きで「聖光」と「聖心」。斎藤監督は「ユニホームが似ている。色合いもね」と、「聖」の文字を指さした。両校ともキリスト教が由来する。ともに2桁安打を放ち、先発投手が1人で投げ切った1回戦。勝ち方もダブった。

 今大会は26試合を消化して37本塁打。昨年の総本数に早くも並んだ。クローズアップされる1発。斎藤監督は「まぐれで誰かが打ってくれればいい」と、ほぼ不要の考えだ。実際、福島大会のチーム本塁打はわずか1本。さらに同監督は「威圧感は中の下」と自虐的? に打線を分析し「単打、二塁打でいい。攻撃の組み立てができれば。違う色で力を発揮するしかないと思う」とつながりを求めた。1回戦は3連打で2点を先制し、その後は好機に適時打が飛び出した。攻撃スタイルを貫くことで勝利を近づける。

 室内練習場ではティー打撃を繰り返した。仁平勇汰主将(3年)は「体の切れを作るため」と汗を流し、1人約300球を打ち込んだ。大阪入り後、打撃はフリー中心だったが、緩い球を自分のポイントで打つ原点に戻った。「バッターの癖とか修正できた。じっくりできたのは今日が初めて」と斎藤監督。「聖なる対決」へ準備をさらに整える、恵みの雨だった。【久野朗】